白い狼
カレンのポーションは師匠譲りで効果が高いと評判が良く、週に一度王国の騎士団へ卸している。
「こんにちは、今週分のポーションを持ってきました」門番に通行証を見せる。
「カレンちゃんいつもありがとう!今騎士団に声かけるから、そこで待っててね」
毎週通っているので門番とは顔馴染みだ。
「カレンちゃんご苦労様。」
現れたのはサラサラの金髪とエメラルドグリーンの瞳、端正で優しそうな顔立ちの男性。騎士団副団長のディアスだ。
その風貌と華麗な剣技からファンが多い。何を隠そうカレンも彼のファンの一人である。
「ディアス様。今日も素敵ですね!ポーション三百本お待ちしました」
「いつもポーションありがとう。今日は怪我人が多いから助かるよ。」
爽やかな笑顔に悩殺される。
(眼福!!重たいポーションの荷車を頑張って引いてきた甲斐があるってものよ!!)
「やぁカレン、ポーション運ぶの手伝うね」
栗色の髪で糸目の少年が現れた。
「こんにちはリュート。よろしくね」
「…カレン、ディアス様との態度に差がありすぎない?」
「だってディアス様は別格なのよ!」
「カレン、リュートの剣技は素晴らしいんだよ。今じゃ騎士団のホープと言われてる。」
「昔は体が弱くてうちの店の常連だったのに、立派になったのね。」
「昔の話はしないでよ。」
ポーションを運びに行くと予想以上に怪我人は多かった。
「何かあったのですか?」
「あぁ、白い狼のような魔物が現れてね、伯爵家のお嬢様を攫おうとしたんだ。その退治に騎士団も駆り出されたのさ。結局とどめは刺せずに逃げてしまったが…。人語を話していたから高い知能を持つ魔族の可能性もある。カレンちゃんも気をつけてね。」
「白い…魔物??(…まさかコハク!?)」
心当たりがありすぎる。
「ねぇ、カレン今度の土曜日一緒に買い物に行かない?」
リュートが話すがカレンは考え込んでいて応えない。
「ごめんねリュート、急用を思い出したの!また今度ね」
そう言ってカレンは急いで帰って行った。
「…リュート…残念だったね。」
「…………」