君と過ごす優しい時間
どのくらいこうしていただろう。
その日は一日中ベッドにいた気がする。
気づいたらまた朝が来ていた。
(コハクも元気になったし、今日はお店開けよう)
シャワーを浴びているとコハクが入ってきた。
「カレン、おはよ!」
「ちょっと、恥ずかしいから入ってこないで!」
「何で…?今更??」
「それとこれとは別なのよ」
そう伝えてコハクを追い出した。
「コハク、シャワーどうぞ…あら?いない?」
コハクを探すと何やら台所で料理を作っている
「よう!カレン。俺、川行ってきたから。魚も取ってきたぜ」
(やっぱり野生動物みたい)
朝食に焼き魚と野菜スープとパンを食べる
「コハクの料理、美味しいわ!」
「だろ!昔作ってたからな」
「今まで料理なんてした事なかったのに。」
「うーん、俺ら魔物は魔素があるとあんま腹減らねーんだよ。でもカレンは食べるだろ?喜ぶかなって思って。俺カレンが大好きだから喜ぶことしたいんだ。」
「うん、嬉しいわ。ありがとうコハク。」
「へへっ」
嬉しいのかぴょこぴょこ耳が出る
「耳、前よりよく出るわよね?帽子被った方がいいんじゃない?」
「なんかカレンといるとつい出ちまうな…なんかいいもんあったら貸してくれ」
とりあえず麦わら帽子を被せた
褐色の肌と馴染み意外と似合っている
「今日はお店開けるから。コハクはまず裏の畑の薬草を取ってきてくれる?」
カレンは取ってきて欲しい薬草をメモして渡す。
「しばらく畑行けなかったもんな。雑草も抜いてくるぜ!」
ーーーーーーーーーーー
「カレンちゃん!大丈夫だったかい?」
「はい、なんとか。」
「酷い話だよね。女の子を攫うなんて!フィッシャー家は色々と他にも悪事がバレて取り潰しになったよ。」
「それは良かった。」
「コハクくんの怪我は大丈夫かい?」
「ええ、まだ傷は少し痛むみたいだけど元気になりしたよ」
「おーいカレン!いっぱい薬草取れたぞー!」
コハクの元気な声が聞こえてきた
「コハクくんて犬みたいだよね。雰囲気が」
「は…ははっ!本当ですねー」
(お客さん鋭い!)
「じゃあまた。病み上がりだから無理しちゃだめよ」
お客さんとすれ違いにリュートが入ってくる。
「カレン、怪我の具合はどう?」
「まだ傷は少し痛むけど大丈夫よ!」
「コハクは??怪我、酷かったけど。」
「カレン!!雑草根こそぎぬいてきたぜ!!お、リュート。」
「…元気そうだな。お前は不死身か?」
「おう!俺は不死身だぜ!」
「コハクの新しい家を見つけてきたんだけど」
「あ?それならもういらねーよ。俺はカレンが大好きだからな!!」
「なっ!!!カレン!?いいの???」
「他の女なんてもういらねー。カレンだけでいい。」
恥ずかしいセリフを堂々と話しながらコハクはカレンの肩を抱き寄せる。
カレンの頬は赤く染まる。
「ハハッお前はなんでも言えてすごいな。ほんと羨ましいわ。
じゃあこの家は僕が住もうかな?実はあの事件で上の奴らがごっそり逮捕されてさ、階級が一気に上がったんだ。もう兵舎で暮らさなくて良くなったんだよ。」
「リュートおめでとう!」
「俺のおかげだなっ!」
「何でだよ。俺の実力だ。」
ふぅ。とリュートはため息をつく
「…それじゃ、二人ともお幸せに」
「おう!また来いよ」
リュートは仕事に戻っていった
「お店一回閉めてお昼休憩しよっか」
お店の看板をクローズにする
「カレン、昼飯のサンドイッチもう作ってあるんだ」
「コハク、本当にどうしたの?今までなら遊びに出かけてたじゃない。」
「俺はカレンと一緒にいたい。大好きだからな!」
「…私も、コハクが大好きよ」
カレンの言葉にパァァとコハクの顔が明るくなり耳が飛び出した。
この優しい時間がずっと続きますように。