夜明け
カレンは丸い丸薬を飲み、牢から逃げだす
(体が熱い。力が漲る。)
「ディアス様!女が!!」
カレンはディアスの背後から飛び蹴りをする。一時的に身体能力を上げる薬を飲んだためディアスは吹き飛んだ。
そしてシャルロットを押し倒し、口に薬を流し込む。
「飲んだわね。これは毒よ。解毒剤が欲しければ私を解放しなさい」
「そんなハッタリには騙されませんわ。捕まえなさい!」
「ハッタリじゃ無いわよ!後悔しても遅いんだからね」
牢で乱暴した男達が向かってくる。カレンは一目散に逃げ出した
「あいつ!なんつー足の速さだ」
「女が逃げた!捕まえろー!」
屋敷の兵士が立ちはだかる。
カレンは護身用に持ち歩いている催涙弾を投げつけ、涙が止まらない兵士を殴り飛ばす。
(湿気っぽい空気。ここは地下牢かしら?)
催涙弾を撒き散らしながらカレンは階段を登り地上を目指した。
他上に出て木の影に隠れる
その時
「白い魔物が出たぞ!!」
「弓で狙え!!」
(コハク!?)
大きな白い狼に矢が降り注ぐ
なんとか躱すが一本刺さっているのが見えた
そして白狼は魔法を使い、隙をついて屋敷の中に入っていく
(コハク、私はそっちじゃない!)
仕方なくカレンは屋敷の窓からこっそり入りコハクを追うこととなった。
屋敷の中はコハクが暴れ回り荒れていた。
兵士達が何人も倒れている
(やばい…薬の効果が切れてきた。)
薬の反動で目眩と動悸に襲われたカレンは、思わず蹲る。
「みーつけた。こんなに逃げ回って手間かけさせやがって!」
男達に捕まってしまった。
「やめ…て。解…毒剤いらな…いの?」
「どうせハッタリだろ?お嬢様元気だったぜ。さぁお楽しみの時間だ」
カレンは一人の男に羽交い締めにされ、もう一人の男が服をナイフで破く
「おぉ!思った通りいい体してんな。
触り心地も最高だぜ」
「おい!早く終わらせて次代われよ!」
カレンを触っていた男の腕が突然獣に噛みちぎられた
「ぎゃあああ!」
「お前らカレンに何しやがるんだ」
傷だらけで血に濡れた白狼がいた
男達は一目散に逃げ出す。
「コハク!!あなた酷い怪我…」
カレンはコハクに抱きつき涙を流す。
「大したことねーよ。さ、カレン帰るぜ」
「あらっ!可愛いオオカミちゃんじゃない♪」
声をする方を見るとディアスとシャルロットが居た。
「確か私をお嫁さんにしたいのよね。その女を殺したらあなたのお嫁さんになってあげるわよ」
「ふざけんな!お前なんてもういらねーよ。ピンクのブタ女」
「なっっっ!!!ディアス!あの化け物を殺しなさい!」
「弱った敵に止めを刺すのは本意ではないけどね。ようやく白いのと決着をつけられそうだよ」
コハクは爪で攻撃するが簡単に防がれ、斬りつけられる。
「チッやっぱつえーな。でもこれはどうだ?」
コハクは魔法で鋭い岩を出しディアスの足を刺す
「お前魔法が使えるのか!?」
怯んだところを狙い鋭い爪で引き裂いた。
「ちょっとディアス!相手は手負いよ?簡単にやられないでよ」
シャルロットのキーキー声が響く
「ねぇ、そろそろ苦しくならない?」
「またハッタリですの?」
シャルロットは足が覚束なくなってきたようでフラフラする。
「お薬効いてきたわね」
「ちょ、助けなさい!」
「いやよ。今までやった悪いことぜーんぶ話すならいいけど。ほら、ちょうど騎士団が到着したみたいよ」
コハクは慌てて人間に戻る
「大丈夫か!?」
「白い魔物は何処だ??」
「アイツが白い魔物だ!早く殺せ!」
「ディアス様…?」
「ディアス様…変な薬を常用してるみたいです。幻覚が見えてるのかも。」
「え?カレンちゃん!なんでここに??」
「無理矢理連れてこられて、酷い目に…」
うるうると泣き出すカレン
顔は腫れ上がり足からは血が流れ、服は引き裂かれている。よく見ると体にも痣がいくつもあり痛々しい。状況証拠はバッチリだ。
「カレン!大丈夫か!」リュートが駆けつけてカレンに上着をかける
「リュート、私よりコハクが…」
血を流し過ぎたようで座り込んでいる
「…俺は…大丈夫だ…」
「大丈夫じゃないだろ。強がりはやめろ。怪我人を運べ!!」
「リュート、そこのピンクに自白剤を飲ませたの。今なら何でも喋るわ。街で悪い薬を撒いて若者達を食い物にしてるみたいだから、これを機に全部白状させて!」
「分かった。あとは任せて。カレンはゆっくり休んでね」
「カレン…家に帰るぞ」
「安心しろ、お前の正体がバレたら困るから病院には運ばない。家まで運ばせるからお前は寝てろ。」
こうして私たちは応急処置を受け、家まで運んでもらう。
家に着いた頃には夜が開けて空が明るくなっていた。