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君に会いたい

カレンの事は始めなんとも思ってなかった。ただの世話焼きの女としか思ってなかったのに。



カレンは俺に名前をくれて、仕事をくれて、知識をくれて、住処をくれて

俺が手伝うといつも感謝もしてくれて居心地が良かった。


糸目のやつが初めて来た時。カレンの肩を掴んだ瞬間少し嫌な気持ちになった。

騎士団のキラキラヤローが好きとか言ってた時も面白くなかった。


なんでこんなにモヤモヤするのか分からない。


カレンのおかげで普通の生活ができるようになった俺は、休みの度に街を遊び回るようになる。

今までと世界ガラリと変わり、仲間外れにされる事もなくとても楽しかった。

女の子と遊ぶ事も増えて求められるがままに何度か体を重ねた。体は気持ちいいけど、心は満たされずいつもモヤモヤは消えない。


ある日店に戻った時糸目ヤローと手を握り合っていた。


見た瞬間、気持ちが真っ黒になる。


その後話しかけられたがとても嫌な態度を取っただろう。


夜、満月の日にだけ咲く花を採りたいと言われてついていった。

夜に変わる瞬間の空の色がカレンの紫紺の髪とそっくりで。カレンが夜に溶け出してしまいそうな錯覚に陥る。


淡いピンクの花畑と満月と星の海。

そして隣にはカレン。


全てが美しくて天国みたいだ。


ふと横を見るとカレンと目が合う。月明かりに照らされた紫の目がとても綺麗で。気持ちがどうしようもなくむず痒く切なくなって

気づいたらカレンを抱きしめていた。


カレンの顔を見ると何故か泣いていた。


何故泣いているのか分からないけど、泣いた顔もまた綺麗だと思った。


その日からカレンを見ると勝手に胸がドキドキするようになる。なぜこうなるのか自分でも分からない。


カレンにどうしようもなく触れたくなる。他の女には触られる事すら気持ち悪く感じるのに。


キスも気持ち悪くて避けていたのに、カレンにはキスをしたくなる。


同じ部屋で寝た時、随分うなされていたからそっと抱きしめた。


抱きしめると安心したのか俺の腕の中ですやすやと眠る。堪らなく可愛い。


感情が昂り過ぎて耳と尻尾まで出てしまった。


糸目に「本能のままに生きてる」って言われた。

これが本能なら俺はカレンが欲しい。


カレンの好きな花を渡して本能に任せてみよう。カレンが欲しいって伝えてみよう。


早くカレンに会いたくて全力で走って家へ帰る。今日は花がなかなか見つからず遅くなってしまった。


「ただいま!カレン!」


鍵は空いていたが店の中は静まり返っている。

「カレン?カレン?」

家の中はもちろん、裏の畑や山の方も見に行くがカレンは居なかった。



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