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雨上がりの拾い物

昨日は雨が降ったが今日は打って変わって快晴。

その日は絶好の収獲日和の日だった。


私はカレン、薬師をしている。今日は店の裏山へ薬草を取りに来た。

背中に籠を背負いポーションの材料となる薬草を次から次へと放り入れていく。

「やっぱり雨上がりは草も元気だし、土も柔らかいから最高よね!」

いつもの収穫ポイントは粗方取り終わり、次の収穫ポイントの薬草の成長を見に行く。

一度に全部収穫してしまうと薬草が成長するまで時間がかかるため、いくつかの収穫ポイントをローテーションで回っている。


「あっちの子達は育ったかなー♪…ん??



老人が倒れてる!!」


老人かと思ったが顔を見ると若い。真っ白い髪に褐色の肌の男の子が倒れていた。年は私と同じ十七歳くらいで、この辺りじゃ見慣れない服を着ている。


「もしもーし、生きてるー?」

ツンツンしてみるが反応がない。

背中にザックリと切り傷があり痛々しい。


「行き倒れかな?なんか金目のものあったら貰っちゃお。



…おぉ!すごいわ!!希少な魔石をゴロゴロもっている。この人何者?」

「う……」

(生きてた!?)

「…アイツら…殺してやる」


うわ言のように呟く。


カレンはカバンからポーションを取り出し少年に飲ませ、傷口を応急処置した。




一時間ほど経った頃少年は目覚めた。

「おはよう。傷の具合はどう?」


「…誰だお前は。お前もアイツらの仲間か!!」


目が血走り今にも襲いかかってきそうな勢いだ。


「君はここで血を流して倒れていたの。私はポーションを飲ませて傷の手当てをしただけだよ。」


「なんだ…そうか。ありがとう」


「はい、お代。」

そう言ってカレンは手を出す

「…え??」


「ただで人助けするほど私は裕福じゃない。」


「チッ。仕方ねーな。」

少年は小さい魔石を一粒私にくれた。


「じゃ、俺は行くわ。早く迎えに行かねーと!世話になったな。」


「気をつけて。魔石は希少なものだから、ひけらかしてると物取りに狙われるよー…」


話を最後まで聞かずに少年は行ってしまった。



「大丈夫かな?」




ーーーーーーー



数日後また同じ場所で同じ少年が倒れていた。




「まーた今回も派手にやられてるね。今度こそ死んでるかな?」


呼吸を見ると虫の息だが生きてるようだ


カレンは前回同様ポーションを飲ませ傷の手当てをする。


(前回より傷が酷い…。うちにあるハイポーションじゃないとダメかも)


持ってきた荷車に少年を乗せて家へ運んだ。



ぐったりしている少年は非常に重く、ドアから引きずるようにベッドへと運ぶ。


ハイポーションを飲ませて休ませると少年は目を覚ます。


「ここはっ!?くそっ!何でだよっっ!!!」


「おはよう。まぁお茶でも飲んで落ち着きなよ」


「おまえはこの間の…」

気が立っているのか殺気がビシビシと伝わってくる。


「鎮静効果のあるお茶だよ。飲むと気持ちが落ち着く。」


クンクンと獣のように匂いを嗅ぎ少年は少しずつお茶を飲む。


「…うまいな。」


「私はカレン。

君は?なぜ何度も怪我をしてるの?」


「俺は……名前はない。シロとはよく言われる。」


「え??まさか白いからシロ??」

「うるせー!!そうとしか呼ばれたことねーんだよ」


「うーん…じゃあコハクって呼んでいい?君の目は琥珀色で綺麗だし。」

「…好きにしろ」


「じゃあコハク、何で何度も倒れてるの?」


「女が…魔石を持ってきたら結婚してくれるって言うから行ったのに。魔物って言われて追い回されて…」


「騙されたのね…。あなた魔物なの?」


「半分魔物だ。俺は騙されてない。…あんな可愛い子が騙すはずない…。」


「まぁいいけど。私は仕事でポーションを届けに行ってくる。コハクは休んでるといいよ。」


「………カレン…ありがとな……」


ポツリと言いコハクは眠りについた。


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