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今回は少し長めですが次回からはまた、2000字前後になるかと思います。
そして、ブクマありがとうございます…!凄く嬉しいですし、励みになります!!
「分かりました。それでオレ達の世界には魔法なんてなかったんですケド、それってオレ達も使えたりすんのかな〜なんて思ったんですけど―――…」
「そうらしいですな。我が国にいらした異世界人の方は最初、魔法が使えない方しかいませんからな! しかし、ご安心下され――…」
おい、チャライケメン。お前、簡単に頷くなよ。どう見てもホントの事を話すか怪しい案件だぞ? しかも何で警戒心薄くしちゃって魔法についてやら、何やら話はじめてんの!?
まあ、下手に目つけられると面倒だし、ある意味都合は良い。そのままヤツらの気を引いておいてくれ。
そんな訳で。イタイ奴に見えるかもだが、他の奴らにヤツら(髭のとか大臣とか上層部みたいなヤツらね)が気を取られている内に異世界転移、転生においてお約束であるアレ試してみるか―――…
とりあえず言葉には出さず、頭の中に思い浮かべるように『ステータス』と念じて見る…が、何も変わらず。
その次に『高宮透吾のステータスを他の者には見えないように表示』と、丁寧に念じてみると…で、出たよ! ちょっと興奮するな。(マジでラノベ世界かよ! と)
高宮透吾
18歳 男性 職業:賢者、平民(異世界人)
Lv.1
HP:20
MP:25
スキル:【物作り】Lv.1
【直感】Lv.2
【俊敏】Lv.1
【緑の手】Lv.1
【兼業農家】Lv.1
【火魔法】Lv.1
【風魔法】Lv.1
【水魔法】Lv.1
【土魔法】Lv.1
【アイテムボックス】Lv.3
なるほど、なるほど。チート出来そうなやつがあるな? 多分だけど――…緑の手、兼業農家あたり使い方によっては、かなり便利そう。(何故かLevelが最初から3と多分高めの)アイテムボックスとかもあるし、これはツイてるんじゃないか、俺。
ただなー、これをちょっとばかし感の良いヤツや優秀なヤツに見られたら、絶対に利用されそうだなー。(しっかし、職業! 賢者と平民て、何! 平民であり賢者って事!? 平民はともかく賢者とか! これまた絶対ヤバイ案件だろ、コレ。危うく吹きそうになったわ!)
えーと、とりあえず。ステータスのコレとアレを非表示に出来るかな? 念じてみるか。
(おっ、出来る!)
と言う訳で、出来る限り利用価値無しと見られるようにステータスをいじりまくる事にした。(これ、皆出来たらステータス偽装しまくりで表示やら申告の意味無――…いやいや、本来自分と信頼出来る相手だけに知られていれば良いものだよな? 少なくとも俺はそう思うよ)
しかし、あまり非表示にしても疑われるか? まあ、とにかく今のうちに完全な平民に(なんだ、完全な平民って…)なりきろうっと。
『あ、あの〜…すみません、何をしているんです?』
俺が隅っこでコソコソと空中を見つめて小さく頷いていたりしていたのを不審に思ったのか(そら不審に思うわな。あ、そう言えば会話に参加していなかったな、この子も)みつ編み丸フレームの眼鏡っ子(後で名前聞くか。聞いてる余裕があればだけど)が、小さな声で問い掛けて来たので、俺もヒソヒソと小声で返事を返す。
『ちょっと“ステータス”の確認をですね? できないかな〜なんて思っていたら案外簡単に出来たものだから、多分…いや、間違いなくこの後聞かれるか、見せろって言われるだろうし、ちょっと見られたらマズそうと思った物があったので表示オフにできないものかと試していたんです』
『えっと…ステータス、ですか? と言うかステータスって…まるで異世界転移系の漫画やラノベみたいな話ですね? ステータス、出るんですか? それに見られたらマズそうなもの、ですか?』
眼鏡っ子は不思議そうな顔をしながら首を傾げる。
普通ならこんな事言えば『ヤベーな、コイツ』って目で俺を見るだろうに。順応性が高いのかな?
しかし、何言ってんの? みたいな風に馬鹿にしていたり、先に述べたような自分が優位に居るんだぞ的な高圧的な雰囲気を出す訳もなく、純粋に疑問に思っているようだったので答える事にする。
『ええ、ステータスは声に出さずとも、自分だけに見えるように念じれば見られますし、ある程度は隠す事も出来るみたいです。それで――…ええと、この国のヤツ…いや、人達の顔、って言うと美醜の問題みたいな言い方になるな。あー…目付きを見ました? 少なくとも、俺はこの部屋にいる人は誰も信用出来ないと思います。何しろ自分達の都合で、こちらに否応なく勝手に呼び出したクセに誰一人として俺達に謝るどころか、申し訳なさそうな顔をした人はいなかったでしょう? それにあの髭のさっき話した人。多分この場では一番偉そう人。特に人相が悪くてヤバイ気がするんですよね。前に居る他校の女子高生二人居るでしょう? その内のあの茶髪で髪巻いてる強気そうだけど美人の子。マイさん…だったかな? あの子を見る目が何かいやらしい。あれ、大人として駄目なんじゃないかなー…って思いまして』
ギリギリアウトどころの話ではない。ガン見してたよな、主に胸部とか脚の辺りをさ。
『で、恐らくあの人達は俺達に何かをさせようと、日本から俺達を勝手に拐い呼び出した。まあ、召喚術とかでしょう。君が言ったみたいな異世界転移漫画やラノベの世界のように。それで、恐らく魔法が存在する世界だと思うし、異世界人だろう俺達に何かをさせ、利用しようとするのなら、まずは能力を知りたがる筈です』
『それでステータスをチェック、ですね?』
話が早くて助かるね。
『ええ。それで、ヤバそうなら晩餐会とやらかその前かは知りませんが、使えないヤツ認定を受けて、貰えればラッキー位にしか思っていませんが、当面の生活費辺りを貰ってさっさとどこか他の国にでも逃げようかなって』
偏見かもしれない、けれど。ラノベでは大抵、召喚術(もしくは召喚魔法?)を使った国って悪い国が殆どだし、帰還方法は恐らく無いだろう。
それを考えてしまうと、奴らへの怒りやら憎しみやら、戻れないかもしれない事への悲しみやらの感情に支配されそうだから、今は考えない(ようにしている)。なーんて言うか…俺のカンだけど、さっさとここから出た方が良い気がしてならないんだよな。
ステータスにあった【直感】てやつが働いているのだと思うんだけど。
ちなみに非表示にしたり、ちょっといじったステータスがコチラ。あまり非表示にしても怪しまれるかもだからね、こんなもんでしょ。
高宮トーゴ(タカミヤ トーゴ)
18歳 男性 職業:平民(異世界人)
Lv.1
HP:20
MP:25
スキル:【物作り】Lv.1
【俊敏】Lv.1
【アイテムボックス】Lv.1
※この文章を含め、以下の文章はステータスの持ち主本人が許可した人にしか見えません。
※名前の読み方、表示を変更しました。
※スキル【アイテムボックス】のLv表示を変更しました。
※スキル【直感】【四魔法】(火、風、水、土)【緑の手】【兼業農家】を非表示にしました。
これなら放流(魚じゃないけど)されるでしょ。ステータスをオフにして、っと。
『なるほど、いい事を聞いたな。俺もやってみよう。なあ、高宮君。名前とかも変えた方が良いと思う?』
もう一人のイケメン(って言うのもなんだし。正直驚きしかないが俺の事を知っているみたいだし、俺も藤堂君と呼んでおくか)も俺たちの会話を聞いていたのか、話に加わって来た。ちなみに彼も他校生達からは離れて俺と眼鏡っ子の側にずっといた。いつの間にか分厚いレンズの今時そんな眼鏡があったんだね? と言った感じのスクエア型の黒縁眼鏡を装着している。気配を消していたのかな?
『そうだね、簡単になら変えられるみたいだから、変えられるようだったら変えた方が良いかも。けど、藤堂君よく気がついたね?』
名前を知られて、変な魔法とかで心身共に縛られたりしたら、もう最悪だもんな。いや、ホント。リア充の藤堂君が、それに気づいたの意外だったわ。
『高宮君、俺の事知っていたんだ?』
俺に名前を呼ばれ、少し驚いた様子の藤堂君に頷き『んー、君ウチの学校でかなり有名だしな』と、返しておいた。
『あ、あの、気がついたとは? 何の事でしょう?』
眼鏡っ子は気づかなかったようだったので問い掛けについては、ラノベ知識ですが、と。前置きをしてから『よく、悪い魔法使いやらが相手の名を魔法で縛って操るとか魅了するってのも割と見たから念の為というやつですね』と答えると、彼女は納得してくれたのか『なるほど』と一つ頷き地面を見て小さく『ん』と、また頷いた。(名前、変えたのかな?)
そして、魔法の無い国から来た俺達がコッソリとステータスをいじっていたとは露程も思わないだろう、油断しまくりの髭の親父やら貴族? 共は他校生三人と俺達三人の事も促し、なんちゃらの間(何かごちゃっとした、とりあえず豪華な部屋なんだろう事は分かった)までご案内しましょう、と先頭に立って歩き始めた。
ここまでお読み下さりありがとうございます!