3 〜Side.K 1〜
今回はトーゴ達と別れた後のケイスケ達の話になります。
もうねー、正直、今日は最悪で散々な日だなと思って間違いないと思うんだ。
いきなり、全く知らない世界に飛ばされちゃってー、そんなのオレは信じられるワケなくて。(フツーにさ、ドッキリとかだと思うでしょーよ?)異世界だと証明する為に見せて貰った魔法や、ゲームみたいに『ステータス』とか見れた事にはテンション上がったけどさー。そのステータス画面に載っていたオレ達の【スキル】って戦う系のヤツが殆どじゃん? アイはまだ回復系とかあったから良いかもしれないけど…。
王さまやら、お妃さまやら、お姫さま、宰相さん達は好意的だけど、それってオレ達が使えるからだろーし、使う気満々で呼び出したんだよね?
戦争なんて、教科書でしか知らない。オレ達の世界ではオレ達が生まれる前…遥か昔の出来事なのに。(この国では、それが今。小規模とは言え起きているんだよ)戦い方なんて、スキルがあるからって、オレ達に解るワケないし。そもそも人間相手に戦える気がしないのがホンネなんだけどね。
まー、何とかしないと、だよね?
(オレは“駒”になる気はないよ。モチロン、マイとアイの事も“駒”にさせる気はない)
オレとマイ、アイは、ステータス表示をしていた部屋から連れ出されてから、いくつかの謎の爆破音を遠くに聞きながら、この城の王族さま達や宰相のオッサンらと一緒に長い廊下を早足で歩かされ、いつの間にか何となく見覚えがあるような気がする石造りで少し暗い部屋まで案内されていた。
そう言えば。一之瀬高の三人は、大丈夫だったかな? 無事だと良いけど。オレ達だけは、チャペイン国の彼らにとって“アタリ”だったようだから、放置はされずに一緒に逃げるよう促されて来たんだけどね。
「勇者様と魔導士様方も、どうぞ、こちらの部屋へお入りください! ここならば魔族の奴らの魔法と言えども効きが悪いので、万一にやって来たとしても安心です」
「この部屋は…」
もしかして――…?
「君達が召喚された際に使われた部屋だよ。ほら、薄っすらとだけど魔法陣が光っているのが見えるだろう」
第一王子さま、と先程紹介されていた王子が『そこだよ』と魔法陣の辺りを指差した。
…――やっぱり、召喚された時に居た部屋か。
「あのー…」
どうして、この部屋なら安心なのか。それに他の三人はどうしたのか、王子さまに尋ねようとした時。
「ゴミ様! いいえ、勇者さまっ! わたくし、とっても怖かったですわぁ!! 勇者様、どうか、この国でお強くなって、わたくしを守ってくださいまし」
「いやー、ええっと〜?」
王女さまが科を作ってオレに擦り寄ってきた。何だろう、王女さまの方が怖い気がするんだけどー?
「王女サマ! ケイはアタシ達のなんで、あまり近寄らないで下さいますぅ?」
「王女サマなら、兵士の人達が守ってくれますよ。だから、ケイが守るのは私達だし、私達もケイを守るし」
マイとアイが毛を逆立てて威嚇する猫のような態度を取り、オレと王女さまの間に立って、オレを庇ってくれている。嬉しいけど、挑発的な言い方はマズイんじゃないー?
「まあっ、勇者様を独占してはなりませんわ! 魔導士様方」
ソレ貴女が言います?
「何か面倒臭い事になってきたし、煩いな。君、ケイスケだったかな? こっちで少し話でもしないか? 時間はまだ割とある事だしな」
「ハハハ…そうですね、そうしましょー」
まずは、情報を手に入れないと、今後身動き出来なくて気づいたら“駒”まっしぐらになんてなったら大変だからねー。この王子なら、今いるこの室内では唯一信用出来そう(ちょっと胡散臭そうだけどー?)な異世界人かな〜、って事で。
オレと王子さまは三人から少し離れる事にし、話をする事にしたのだった。(この部屋、結構広いから少し離れさえすれば、フツーに話せそうだ)
ちなみに余談だけど。王さま、お妃さま、サイショーさんは、オレ達とは反対側の奥の方で、誰が出したのかは解らないけどテーブルと、同じく誰が出したのかは解らない椅子に座り、のほほんとお茶を飲んでいたよ!
ここまでお読み下さりありがとうございます…!!




