「ちゅ」
古びた小さな小屋
どうやら人は住んではいない
ここに寝泊まりしますか?
「ん」
どうやら問題ないようだ
「二人の家、一つ屋根の下……蜜月の時……甘いひととき……永遠の愛……快楽と愛欲の世界……うふ、うふふふ」
タタリちゃんは妄想の世界に入ったようだ。
実のところ、俺もそういうことを妄想してはいるのでまあお互い様だ
中に入る
当然ボロい
掃除は……ああそうだ
風のいたずら!
ホコリを風で飛ばした
少しはきれいになった。
けど、家の中には、まだ土やらコケやらがついて、汚れていた
うーん
こまった
掃除道具があるわけでもなく
あったとしても、俺には持つことが出来ず、使えない
「まかせて」
タタリちゃんはそういった
「ポルターガイスト、強制催眠、記憶混濁」
次々とスキルを使ったようだ
でもすぐに何か起こる気配が無かった。
何したの?
「もう、すぐに、わかる」
そう言った後、すぐに、家の扉が開け放たれた。
男女の中年と、少年の3人が入ってきた。
うわっ! どちら様?!
「……」
何も話さない。
そのまま中に入る。
そして、3人の後ろから、ほうきや雑巾、バケツなど、様々な道具が宙を浮きながら家に入ってきた。
……何事?
「ご近所さん夫婦、そうじ、手伝って」
うなずくと、3人は黙ってすぐに掃除し始めた
そして30分もしないうちに掃除が終わり、掃除道具とともに帰っていった。
「きれいになった」
人が住めるくらいにきれいになった
すごいです。タタリちゃん!
「うふふふ!」
タタリちゃんは喜んでる。
そういえばタタリちゃんのレベルはいくつだろう。
少しそう思ったが、
聞くのは怖いからよそう
今日はもう寝ましょう
タタリちゃん
「ん!」
俺とタタリちゃんは横になる。
おやすみなさい
「まだ」
え……?
どうやらまだ寝れないようだ
どうしたんだろ?
「やってほしいの、わたし、と」
……これはまさか
やってほしいというのは、あの行為のことでは……!
気持ちが高ぶる。
俺はタタリちゃんの次の言葉を待った。
「せ……」
せ?
「せっ……!」
せっ……、に続く言葉は知らないけど
なんだかいい響きだ……!
そして、タタリちゃんは、ちゃんと言葉を言い切った
「せっぷん、して、欲しい!」
……おお、接吻だったか。
男女同士でやることといえば、まずはこれだからな。
「ちゅ」
俺とタタリちゃんは接吻したあと、一緒に眠るのだった。
***
古びた小屋。
住んでいるのは俺とタタリちゃんだけ
日が登る頃は、眠りにつき
日が高く正午を過ぎた頃に起きて
タタリちゃんと二人きりで村に降りてデートして
日が沈む頃にいつもの竹やぶに潜み
夜に出歩く人々を脅かしてレベルを上げる
この繰り返しだ
そして、今は深夜の夜明けまえ。
もう寝る時間だ。
おやすみ、タタリちゃん
「ん。まだ」
タタリちゃんは俺をじっと見つめた
はいはい。
おやすみの、チューだね
「うん」
にこぉ、とタタリちゃんは笑う
ここに住むようになってから、毎日、接吻――つまりキスをしている
一つ屋根の下
蜜月の時
甘いひととき
永遠の愛
快楽と愛欲の世界
……言葉通りというには、健全すぎかもだけど、俺たちは幸せに暮らしていた。
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