表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
睡眠不足勇者の日常  作者: 夜霧
一章 寝不足勇者と夜の異世界攻略
4/54

4.オカ研の面々

次回は明日12時予定!

 

「……様、ご主……、そ…そろお時間……」

 耳元に暖かい空気と共に小さな声が聞こえ、段々と意識が覚醒していく。


「ご主人様、そろそろお時間です」

「ん……、あー、よく寝た」

「おはようございます。お加減はよろしいですか?」

「あぁ、大分頭の中がスッキリした気がするよ。……で、俺はなんで膝枕されてんの?」

 意識が途切れる前にフランによって運び込まれた漫画の山が一掃され、正座した膝の上に勇人の頭を乗せ右手はスマホ、左手は頭を撫でている。


(やけに快眠できたと思ったらそりゃあそうだ。ネカフェにある量産型のショボい枕じゃなくて異世界屈指の美少女の膝を枕にしてたら快眠だわ)

 そう心の中で思いながらも若干気恥ずかしさを覚えてきたため起き上がる。


「嫌でしたか?一部の漫画やライトノベルにも男性は女性、特に美しい方に膝枕されることに至高の喜びを覚えると書いてありましたが……」

「うん、まぁ自分が美少女だって自負してるのはお前の美徳だ。そして嫌かどうかの話だが……うん、まぁお陰で快眠できたし嫌ではない、だが少々気恥ずかしい上にお前の足が痺れるだろうから止めておいた方が良いとは思う、まぁフランの好きにしてくれ」

「成る程、これがオタク特有の早口という奴ですね。何はともあれ足の痺れに関してはご心配には及びません。これからも色々な機会にさせていただきますね?」

「……スマホを渡したのは失敗だったか……?」

 大学に入る際にフランのスマホ未所持が原因で友人関係に亀裂が入るのを防ぐために勇人が買って渡した。

 ある程度の操作を教えた結果、俺に聞くよりも全世界の知能を使う方が早いことに気づき、どんどんと知識を蓄えてしまい、最近では余計な事まで覚え始めた気がする。


(教育をする大人がスマホをいつ与えるかに悩むのってこういうことなのか……?)

 何事にも利点があれば欠点もある。

 膨大な情報量を誇るネットの中にも知らなくて良い情報が山程あるのだ。


「まぁ……オカ研に顔出しに行くか」

「畏まりました」



◇◇◇



「お、我らが真のサークル代表様が来たな」

「だーれが代表だ。面倒事は御免だぞ」

「黒崎殿、フラウロード殿。ささ、こちらに」

 サークルに与えられた部屋の扉を開け、顔がにやけ面でほぼ固定されてる修二の相手をしていると、この暑い中上に黒いパーカーを来ている一人の男が俺とフランを席へと案内する。

 ちなみにフラウロードはフランのファミリーネームだ。


「さてさて、じゃあオカ研の定例会を始めるか!」

「俺は議題も何も聞いてねぇんだが?」

「今から説明するから待てって」

 一応公的には修二が代表だが俺を祭り上げてるサークルだ。

 なのに何故俺が一番情報を知らないのだろうか……。


「だって勇人、眠い時は本当に興味がある話しか聞かないじゃない。オカ研の活動内容よりも睡眠を優先するでしょ?」

「それは当然」

「だから勇人が寝た後の頭が働いてる今話すのよ」

 今俺を相手してるのがこの大学随一の美女であり修二の彼女の天野あまのかなでだ。


 身長は高めでかつ女性目線からでも理想の体型に見えるだろうスタイルの良さに初めて見る人間は男女問わず二度見する。

 修二達と外に遊びに行けばそんな面白い様を目撃出来るが連れも同時に見られるためあまり行きたくないものだ。


 さて、何故彼女がこのサークルに入っているかというと単純に中学時代の友人、つまり修二と勇人が居るからだ。

 元々何処にも入るつもりがなかったらしいが自分のいないところで彼氏と友人が楽しげにしているのを見て少し羨ましくなったようだ。


「議題に関しては拙者から話させていただきたい。黄金殿、宜しいかな?」

「おー、助かる。しゅん

 立ち上がったのは先程勇人とフランを席へ案内した黒パーカーの男、笹原ささはらしゅん

 中二病を自負しており神隠しから戻ってきた勇人に何故か尊敬の念を抱いており、異常なほど敬われている。

 ただ、意外と頭の回転は早く、高校時代にはテレビのクイズ企画物に中二仲間三人で出場し、地上波放送手前の惜しいところまで行ったらしい。

 中二仲間はあまり頭が良くなかったようだ。


「さて、本日の議題についてだが…「こんちはー!すいません遅れましたぁっ!!」……邪魔が入ったか、おのれ工藤くどう後輩!」

「あ、瞬先パイがカッコつけてる段階だったみたいッスね。じゃあセーフかな?」

 突如扉が大きく開かれ、ボーイッシュな短髪半袖の女子が入ってきた。


 彼女は工藤くどう綾乃あやの、今のところオカ研唯一の一年生であり、よく瞬の中二ファッションや中二発言を弄っている。

 最初は興味本意で部屋を覗いてみただけだったらしいが想像以上に面白そうだった、という理由で最近正式にサークルの一員となった。


 オカ研はこの二年生四人、一年生一人という超零細サークルとして活動している。

 どうやったかは知らないが一年生の頃に修二が無理矢理(瞬はどうかは知らない)瞬と勇人をメンバーとして誘い、大学にサークル申請を通したらしい。


(こんな得たいの知れないサークルに活動許可を出させるなんて……どんな手を使ったんだか……)

 中二ファッションと半袖女子のじゃれあいを見ながらそんな考えるだけ無駄なことに思考を割いていた。




 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ