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睡眠不足勇者の日常  作者: 夜霧
一章 寝不足勇者と夜の異世界攻略
12/54

12.夏季休暇前の集い

 

 今日も朝から講義が連続し、夏季休業前にそれぞれ期末の課題として課されていたレポートを提出することになった。

 一部テストの科目もあったが普段から講義を聞いていればそこまで問題はない。

 ……信頼は無いだろうが本当に問題ない、現に一年の時はこれでほぼ全ての講義の単位を取ることができた、ギリギリのもあったが……。


 そして修二からSNSを通じてサークルの集まりがあることを知らされ、全ての講義を眠気に耐えながら過ごし、終わった後にいつもの部室へと足を向けていた。


「ふぁ……、フラン、今日は分担作業の予定だから頭の片隅にでも入れておいてくれ」

「畏まりました。ちなみにその作業の内容は決まっていますか?」

「あー……、まぁ教えといていいか」

 周囲にこちらを観察する目がないのを確認し、一応適当に軽度の混乱を撒きながら説明を始める。

 非現実的な日常を知られるとその人物によっては大変面倒な事になる。

 主にマスコミの真似事をしている大学新聞局や口が軽い情報通ぶる人物だ。

 前に神隠しに関することで目をつけられ、最近は飽きたのか離れてるが何が原因で再燃するか分かったもんじゃない。

 火種は生まれる可能性を限りなく減らすのが重要なのだ。


「フランには昨日と同じようにあの辺の魔物の殲滅を頼みたい。俺はいつものとこで資金調達と少し調べものだ」

「畏まりました。調べものとはあの前報酬に関することですか?」

「あぁ、話が早くて助かるよ」

「ご主人様は普段前報酬など要求しませんから……」

 そう、勇人は普段は成功報酬以外の報酬は要求しないし受け取らない。

 今回要求したのはノイルから言われたことを思い出したからだ。


「これでノイル様が本当の事を言ってたかどうか分かる……、まぁどちらにしてもやることは一つだがな」

「とすると、別行動は二時間ほどでしょうか?」

  「あぁ、それ以降は俺もそっちを手伝いに行く。何かあったらすぐに連絡してくれ」

「畏まりました」

 部室が近づき話もまとまったため、二人は会話を終えた。


「おっす、お疲れさん!」

「そっちもな。後半突っ伏してたがテストは大丈夫なのか?」

「大丈夫だ、問題ない。キチンと終わらせてから寝たからな!」

 既に二人以外は集まっていた。

 修二と軽く会話をしつつ席に着く。


「そう言って……前に見直ししなかったせいで単位落としかけた癖に」

「奏~、それは言わない約束だろ!?」

「ここに居る人には周知の事実よ」

 そう、余裕と思って突っ伏してたらあろうことか解答欄が一つズレてたらしい。

 見直しすれば気づけた事態だったが幸い、その講義の教授に呼び出された後、サービスで単位をくれたらしい。

 ズレていなければ九割取れてたのもその要因だろう。


「あー、もう全員揃ったから始めるぞー!本題は我が部の留学生への対応方針だ!」

 そう、この夏季休暇の最中から今年度中……つまり三月の終わりまで勇人達の大学には世界各地から留学生が来るのだ。


「来るもの拒まず去るもの追わず。拙者はいつものこのスタンスで行けばいいと考えているが?」

「無論、それもありだ。だが……一人くらい外国の美女とお近づきになりたくないか?」

「おい彼女持ちが何言ってんだ?」

 お前の彼女は学園トップクラスの美女だろ?と言う意味も込めてすかさず突っ込む。


「いやいや、このグローバル化の世の中海外との繋がりも重要だろ~?あ、もうピックアップしといたから誰誘うか決めようぜ~」

「お前なぁ……」

「まぁまぁ、勇人先パイ。修二先パイの話も一理ありますよ?と言っても本人は別の意図しかないように思えますがね」

 ピックアップしたと言われて出された五人の女性の顔写真、情報をパッと見ただけで顔、性格しか見てないように思えた。


「大体お前、フランス語とかドイツ語とか話せるのか?」

「あ、ムリムリ。オレ、ニホンゴシカ、デキナイ」

「おい大学生、せめて英語くらいは出来とけ」

 仕方ないと思いつつ英語圏のみを候補に入れようとしたが一人しか残らなかった。


「んーっと、アメリカ出身のシルヴィア・ホワイトローズ?しか残んなかったぞ」

 ニューヨーク出身、金髪ロング、会話言語は英語が基本だが日本語も結構話せる。その上スペイン語ロシア語といくらなんでもハイスペックにも程がある女性らしい。

 基本的に勇人は相手をする気がないため修二が問題なく話せそうな人物と言うのを条件にすると彼女しかいなかった。


「おー、その人良いよな!SNSも見てみたけど結構陽気な人っぽかったしな。ただ一つ問題なのは……」

「まぁ優良物件過ぎるからライバルは多いだろうな。頑張れ」

 基本的に全員小中高校生を経て大学生に至っているため英語はある程度学習している。それに加えて日本語にも対応してて容姿、性格も申し分なし。

 人気がない筈がない。


「くっ、どうやら二日後に入るサークルを決めるらしいからそこに俺らも混ざりに行くぞ。上手く行けば次の日の合宿にも参加してくれる!」

 大分調べてあるところを見るとピックアップと言いながら彼女一点狙いだった可能性がかなり高いな、と内心思いながらも口にはしなかった。

 修二の背後が気になった事もあって……。


「ふーん、あんた金髪ロングの人が好みなんだ……」

「へ?いやいやいや!俺はこのサークルのグローバル化を目的とし、てぇっ!?」

 奏のボディーブローを受けて修二はその場に崩れ落ちて沈黙する。

 奏の背後から若干黒い靄が滲み出てる幻が見えた気がしたが気のせいだろう。


「はい、じゃあ明日から夏季休業だけど明後日は大学のメインホールに集合ね。海外の人達との交流が大事なの『だけ』は頷けるから勧誘は頑張るわよ」

「承知した」

「はーい」

「了解」

「分かりました」

 床に伏す修二と奏を置いてオカ研の面々は各自帰途についた。



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