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そして、再び。

 奏は願った。

 全ての人に<夢>が戻ることを。

 その事で今、<夢>が人々の心に戻り始めている。

 全ての<夢>を失った人々の元に、<夢>が戻り始めている。

 羽衣はその<夢>を降らせている場所に向かって羽ばたいている。

 そこに羽衣は奏の<夢>を還しに行かなければならない。

 奏の特別な願いから生まれたこの<夢>だけは羽衣の手で還さないといけない。



『ねぇ羽衣。奏には新しい<夢>は生まれるのかな……?』



 羽衣の中の翼希が、羽衣に話しかけてくる。



「うん。羽衣達がこの<夢>を<夢>の海に還せば新しい<夢>が生まれるよ。でももう生まれかけてるかもね」


『ふーん……そかそか……』



 羽衣の中の翼希はぼんやりと眼下の奏の姿を見つめている。



「奏には、どんな言葉を送るの?翼希?」


『うーん……そうだね……。……そのほのかな想いはもう通じてるよ……かな?』


「なーんだ。翼希、分かってるじゃない」


『まぁ……あんなことに付き合うお人好しなんてそうそういないよ。奏がにぶちんなんだよ』


「ふーん……まぁいいけど。羽衣からしたら翼希も人のこと言えないけどね……」



 羽衣はにししと苦笑いして天高くへと羽ばたいた。

<夢>の降るこの世界の彼方へと。


 ―――



「手紙……出しましたか?」



 私が手紙をポストに投函したのを待っていたかのように、郵便配達員のお兄さんが現れる。



「はい、出しました。ちゃんと宛名付きで」


「そう……ですか。それでは、ちゃんとお届けいたしますね」


「はい、お願いします」



 私はそう言って学校へと駆けだしていった。

 宛先を書くことができないようにお兄さんは願ったはずなのに。

 私はちゃんと宛先を書くことができた。

 それは何故だろう。

 でも、宛先を書けた瞬間、私は幸せを感じた。

 これから、始まる、新しい物語のページが綴られていくような予感がした。


 ―――



『羽衣。<夢>を降らせている場所ってどこにあるの?』


「分からない。けど、"魔法使い"は人々の諦めた<夢>を、<夢>の海に還してたって聞いてる」


『そもそも"魔法使い"は諦めた<夢>を使って願いを叶えるんじゃないの?今回も羽衣は奏の一番の<夢>を奪っちゃったし』


「今の羽衣達は本当の意味で"魔法使い"じゃないから。翼希の天使の力で願いを叶えてる。だから強い<夢>が必要なの」


『ふーん……それなら、しょうがないか……』



 納得のいかないような声音で、羽衣の中で、翼希は呟く。



「それじゃ、翼希。急いで行くよ。<夢>の海のある場所へ」



 羽衣は心の中の翼希にそう告げると、力強く背中の羽を羽ばたかせる。

 羽衣達の向かう場所。


 それは、<夢>達の集う場所。

 それは『願いの果て』の物語。

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