そして、二人は。
これまで私は。
この青い空の上から、何かを見て。
様々な世界を感じて。
刹花やニクス達に会って。
笑い合って……。
何かを感じるたびに。
気持ちが増えていって……。
<小さな星>を見つめ続けて……。
そして私は知った……。
私が何者なのかを……。
私が何者であったのかを……。
そうだ。
そうだったんだ……。
私は……。
私の本当の名前は……。
―――
雨の降る中。
羽衣は雨の降りやまぬ空を見上げている。
そこに存在するはずの人を見つめている。
……羽衣は<小さな星>として願いを叶えてきた。
……<小さな星>として人々の願いを叶えてきた。
……様々な人々の願いを叶えてきた。
……様々な人々の<夢>達を奪ってきた。
……そして私は人々の<夢>を使って羽衣は願いを叶えた。
……羽衣の記憶を取り戻すという、願いを。
……羽衣の中では今も人々の<夢>が淡く輝き続けている。
……羽衣の中で輝く人々の<夢>達に触れあうたびに。
……羽衣の中で輝く人々の<夢>達を感じるたびに。
……気持ちが増えて……。
……そして羽衣は知った……。
……羽衣が初めに何を願ったのかを……。
……羽衣の初めの願いが何であったのかを……。
……そう……。
……羽衣の……。
……羽衣の……<小さな星>の初めの願いは……。
―――
私は、雨にうたれる<小さな星>の前にゆっくりと降り立つ。
そして<小さな星>を優しく抱え込むように抱きしめる。
<小さな星>も私の事を抱きしめ返してくる。
「翼希……羽衣は初めの願いを思い出したよ」
<小さな星>は私を抱きしめながらそう告げる。
「私も、私が何者だったのか。思い出したよ……<小さな星>」
<小さな星>に言葉に私は優しくそう応える。
「「戻ろう……一人の存在に」」
私達は口を揃えてその言葉にする。
そう……私は。
私達は……元々一つの存在だったのだ。
私達は……元々、一人の人間だったのだ。
私達二人の気持ちが重なった時。
羽衣達は一人の存在になっていた。
私は、翼希であり、<小さな星>。
羽衣は、<小さな星>であり、翼希。
私は、翼希は、羽衣の願いから生まれた存在。
元々、羽衣達は一人の存在だったのだ。
羽衣の、はじめの願い。
それは……『私が天使だったらいいのに』。
その願いは、翼希という形となって叶えられた。
羽衣は一人の天使として飛び立つ。
羽衣は、この世界の『最後の願い』を叶える為に背中の白い羽を羽ばたかせる。
それは、この<夢>が失われてしまった世界で。
羽衣達が叶える……『最後の願い』の物語。
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