そら
「……いいねぇ……青春は。……あおくて……、はるで……」
私は夕焼け空の下、そっぽを向いている彗夏と始を見つめながらそう呟く。
これから、あの二人は淡い恋心を抱いて生きていくのだろう。
私と歩の関係の様に。
「さてっ……っと」
この物語を見て確信したことが一つあった。
紅い洋服の少女は、『クロ』だと。
何か目的があって、<小さな星>に願いを叶えさせているのだと。
それが何故なのか分からない。
分からないけれど……。
何か嫌な予感がした。
だから私は動かなければいけないと思った。
私自らが物語を紡いでいかなければ。
そうしなければ、今よりもっと悪い何かが起こるのではないか感じた。
だから、私は。
物語を紡ぐことにした。
自らの物語を。
この青く澄み渡った空の下で、新しい物語を紡いでいこう。
この青い空の下で生きている人たちとともに。
私の眼下では、相変わらずもじもじドギマギとしている彗夏と始の姿。
やれやれと思いながら、こう言葉を二人に贈る。
「……どうか、二人には、優しい未来を……」
―――
「彗夏……っ。彗夏……っ!!」
うー……。
今日も五月蠅いなーー……。
私はもっと眠っていたいのに……。
私は夏以外の季節は苦手なの……。
「彗夏ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「うるっさーーーーーーーーーーいっ!!!」
いつもの如く耳元で大声を出されて、私はたまらず飛び起きる。
うーん……。
女の子が縁側で気持ちよく眠っているのを、妨害するのはやめて欲しいんだけどな、いやマジで。
本当にデリカシーの欠片も無いんだから。
そう思いながらもいつもの様に出かける準備を始める。
鏡を見つめながら思う。
もう、麦わら帽子の季節でもないかな……。
でも、これがないとひまわりさん達も悲しむかな。
そう思いなおし麦わら帽子を頭にのせる。
うん、やっぱり私は麦わら帽子が似合ってる。
それじゃ今日も元気に行ってきまーす。
私は始と共にひまわり畑へと向かった。
新しい息吹の種を収穫する為に。
―――
「ふむ……」
とりあえず、今まで運命に縛られて生きてきたことを断ち切るために動くことにしようと、思ってはみたものの。
何をすれば良いのか分からない。
むー……まぁ良いか。
為せば成る、為さねばならぬ、何事も。
母の口癖を胸に私は舞い降りる。
この青い空から、遠い世界の空の元へと。
過ぎ去りし、『一輪の花』の元へと飛び立った。
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