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誰も来てくれない
それから半年が経った。
病室の窓から見える大きくて邪魔だった木も、綺麗な花が咲いた。愛花はその木にちょっとだけ、謝った。
「邪魔だなんて思っててごめんね」
こんなに綺麗だったなんて。
そう付け加えて、愛花はカレンダーを見た。もう春だ。なのに。
最初は寒いからだと思っていた。愛花の元にお見舞いが来なくなったのが、冬に入った頃だったから。お見舞いに来てくれる人の服装が厚くなる毎に、徐々に人数が減っていった。
家族と病院の関係者にしか会えなくなった愛花は、胸にぽっかりと穴が空いてるみたいな、そんな感覚に苛まれた。
誰も私を心配などしていない。
誰も私に元気になってほしいと思っていない。
誰も私を必要としていない。
誰も私を見ていない。
と。
これが孤独かと、これがひとりかと、愛花は手首を握って唸った。
「なんで……誰も来てくれないの……?」
それを聞いた母親は何も言えなかった。
愛花の目には涙が滲んでいた。愛花はその涙を目から千切り落とそうとするべく、瞳を閉じた。




