んらでぃん
しりとりは「ん」で終わると負けです。
「ん」で始まる言葉がないためそのようなルールです。
どんな強者でも完全に戦えなくなるようにするのは、そのようにしたほうが悪い。
しかし強者であればまだ戦える状態ならば、そのようにしても良い。
そして相手が強者ではなくそのまま負けてしまうと、負けたほうが悪い。
これが勝負事のルールづくりのように思えます。
そう思ったある若者が「んらでぃん」という芸名の芸人になりました。
あの世界的に有名なテロリスト「ビン・ラディン」からヒントを得た芸名です。
エロリスト語り(テロリスト語りではない)をしながら最終的に誰よりも平和を愛していると思わせる芸風で有名になります。
んらでぃんの出現によって、「ん」で終わってはいけないルールは改正されました。
「ん」で始まる言葉が生まれたからです。
しりとりは固有名詞禁止なんですけど、そこは目をつぶってあげましょう。
こうした経緯で「ん」で終わってもしりとりは続行になりました。
ルール改正です。
しかし「ん」で始まる言葉が「んらでぃん」だけなのと、「んらでぃん」が「ん」で終わっているため、やはり「ん」で終わらせると、んらでぃんカウンター(「ん」で終わらされたら「んらでぃん」と返す)で負けます。けっきょく「ん」で終わらせたら負けというゲームのままです。
しかし反則になりました。
んらでぃんカウンターは、どんな強者でも完全に戦えなくしてしまうためです。
他に「ん」で始まる言葉がないことが根拠です。
「んらでぃん」と言うと反則負けになるようルールが改正されました。
そして結果的に、しりとりは「ん」で終わらせることで勝ちになりました。
なぜなら「ん」で終わらせてもかまわないと、すでにルールを改正してしまったからです。
大勢の善良な市民は元に戻せと言います。
しかしルール改正で利益を得た大企業、ルール改正にメンツがかかっている官公庁、果ては「ん」で始まる言葉を増やそうという新興宗教を巻き込んで、しりとりを元に戻す動きは大きく停滞します。
おしまい