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覆水盆に帰らんとです。

 「困ったな」


「そうですか?」


 陽光輝く原始の森の外れ、木漏れ日のつくるコントラストの中で、“原始”には似合わない出で立ちのスーツ姿の金髪・碧眼の少年と、緑色の髪にグリーンアイで、妙に色っぽいドレス姿の女性が立っている。少年の方は若干考え込んでいる様子。


「元に戻すわけにはいかないし」


「戻りたくないけど」


「同じ工程でも、同じになるか自信ないし」


「そのレベルの腕で、アタシを遺伝子レベルまでいじったとですか?」


「まぁ、どげん考えても仕方あるまい」


「・・・Θ*%$#?!!!」


 ☆☆☆☆☆


 辺りはすっかり“おめざ”の時間。


「うーん、ちょっとお腹空いたっぽい。君も行く?」


「どちらへでしょう?」


「僕のおうちごはん」


「あなたのお宅へ伺ってよろしいんですか?」


「うん。この辺の葉っぱ食べたらお腹壊しそうだし、君にとっては共食いになるし。さっきのイノシシには情移っちゃったし。ね」


 少年がくるりと振り返ると、今まで何も無かったようなさわやかな笑顔。


 ぽっ


 元バラだった女性は、思わず頬を染めました。

 少年はといえば、彼女の様子に全く気付く様子も無く空を見上げながら、まだ何か考えている様子。


「あ、そうだ。君は目を傷めるといけないから目隠しをしといた方がいいな」


 少年は丁寧に、モトバラの目に布を巻きます。 


「移動空間は狭いから、慣れないと手なんか出して、怪我をするといけない」


 少年は両腕、両肘も硬く縛ります。その間、少年の優しい声や長い髪がさりげなく絡みつきます。モトバラは、慣れないことにドキドキしながらも、ふと「こういうのも結構OKかも」なんてあらぬ事を想像しまくって、脳ミソだけすでに別世界。大丈夫かコイツ。


「うーん」


 少年はちょっと「やばっ」という声がでそうなのを飲み込んだカオ。


「どうかしましたか?」


「いや、大丈夫」


 “ただ、見た目が巨大なミノムシなんて・・・言わない方がいいな。とにかく、上に木の枝とか邪魔になるものが無いほうがイイ”・・・少年はアタマの中だけで妥協の会話。言わない方が良いことは言わないに越した事ナシ。うむ。


「ちょっと移動するよ」


「ふぇい(はい)」


 すっかりぐるぐる巻きのモトバラは何も分らず、とにかく必死に返事をしました。さぁ出発!


 …ただ、


 少年が、巨大ミノムシを抱えてのっしのっしと歩く姿は、遠目に・・・『連れ去り』っぽいんですけど・・・。


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