地球へ
今回は、どうにも自己中心性の高い地球出身の女性・・・元薔薇が主役みたいデス。勝手に・・・。(手綱取りきれない作者)
「さて、じゃあ、研修所も終了してるし、地球のリサーチも終わってるし」
「まさかお坊ちゃままで地球に行かれるんですか? そんな危険な!」
ハザマは焦りの表情で王子を見つめ、絶対ダメ!の目つき。
「人員が足りないんだなぁ、圧倒的に。やっぱり亜種は増えすぎると集団で凶暴化するから、優秀なエージェントでも手こずってるらしい」
王子さまは深いため息をついて、
「けが人続出だけじゃ済まないんだ。父さんの酔狂でここまで手がつけられなくなるなんて」
「亜種は噂通り凶暴なんですね」
ハザマはくん鳥肌をたてている。
「ううん。まだ未知の部分が多い。大体、ここまで繁殖した記録はないんだ」
「不思議ですね、人間て。一個一個でありながら、集まると一つの大きな獣になったりもする」
「まるでハザマみたいだ」
「ええっ、やだな、わたしはそんな凶暴なソウルはないですよ」
必死に両手を振り回して否定。あっ、腕が取れちゃった。
「優秀な人材は、古代アッシリアや中世ルーマニアを中心に入っている。人間の凶暴化を抑えるためにね。あと二十世紀だな、主力は」
「なるほど」
腕を戻しながらハザマくんが相槌を打つ。
「僕はそのあとの二十一世紀。もう先発隊が行っているから合流するだけだ」
「おぼっちゃま…」
「なんだハザマ。妙に擦り寄ってくるな」
「しつこいようですが、お坊ちゃまには向かないお仕事ではないかと…」
「うーん。僕もそう思う。でも、僕だけに任された仕事もあるし、とりあえずいかないとね」
王子様はハザマの不安を気遣うように優しい笑顔。思わず見てしまったモトバラは“しまった!”と焦りまくり。
そっちじゃ、私は手も足も出ないじゃないの!!!(そっちって?)
☆☆☆☆☆
「コホン! エー皆様お取り込み中のところ失礼ですが」
シェフ猫が口を挟みます。
「マナーをお忘れかと・・・」
「あははは、忘れてた。全員減点1」
王子がくすくす笑うと、ハザマくん大焦り。
「何故に、私の前にも料理がっ!」
さすがシェフとメイドの早業! すっかりハメられたねハザマくん。
「バツゲームとかあるんだろうか…」(気の毒に、すっかり目が泳いでるし。)
「ちょっと待ってよ!アタシまだ、ルール聞いてないんだから、減点の対象から当然除外ね。じゃ、やりましょ!」
さすがモトバラさま、強気。
「簡単なんだけどね」
王子はくすくす笑うとモトバラに目をやって、
「まず、両肘を耳より高くあげて、身体は若干前屈みね。で、全員そろってガツガツといく」
「なかなかワイルドね」
「ただし、この時注意するのは、全員同じリズムで両手と顔を動かさなくちゃいけないんだ」
「なんでぇ?」
「さぁ、シェフの故郷では、皆そうやって食べるらしい」
「なんか、ちょっとヤバンな所ねぇ」
「まぁ、狩人の星だからね。皆、ワイルドだよ」
二人の会話をよそに、ハザマくんはスタートの体制を整えている。すでにイメージを集中させているのか?
ハザマくんのスタンバイに気づいたモトバラは焦りました。いけない!出し抜かれちゃう。彼が勝ったらどうなっちゃうの! 物語のカラーが変わっちゃうじゃない。(というか、カラーとかあった?)
私が勝たないと! ビギナーズ・ラックよ!! ファイトあたし!
しかし、ふと不安が・・・。
やだ、どうしよう。頑張りすぎてあの人(王子さま)が負けちゃったら・・・。そうしたら、えっ、私とこいつ!?(ハザマです。)
そんな、想定外な。どうしよう。