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中華街ウォーズ  作者: oga
8/11

朝陽門の守護者

「目的の門?じゃあ、朝陽門」

リンユーは試しにそう言ってみた。

すると、水晶は、

「了解デス、朝陽門ノ守護者ノ居場所確認中……30キロ先、北東ノ方角ニイマス」

水晶はまるでカーナビの音声ガイダンスを彷彿とさせる声でそう言った。

「北東を30キロ?中華街より外に出ちゃうんじゃない?」

とリンユー。

「うーん、今はたまたま中華街を出ているだけなのか、それとも出身が中華街ってだけで、住んでいる場所は違うのかもね」

サモが水晶を覗き込みながら言う。

「こういうのって、魔女とかがよく使うよね」

とソウハがリンユーをチラッと見る。

「誰が魔女よ。それより、もうちょっと正確に割り出せないものかしら。範囲が漠然としすぎてて探しきれないわ」

すると、水晶はこう言った。

「案内ヲ開始シマスカ?」


「案内してくれるの?ますますカーナビね。どうしようかしら?」

「リンユー、チェン爺の頼みだから行ってきなよ。今回は俺とソウハはやることがある」

「やること?」

リンユーがサモに尋ねた。

サモは改まった顔をして、こう言った。

「料理をソウハに教えないといけない。チェン爺が死んじゃったし、厨房は一人じゃ無理だからさ。」

あー、なるほど、とリンユーが納得した。

「そうよね、そっちも重要だもんね。今回は2手に分かれましょうか。そっちは料理の練習で、アタシが守護者を探す」

そういう取り決めになり、サモとソウハは厨房に向かっていった。


リンユーは水晶を持って、外に出た。

「ソノ道ヲ左方向へ進ンデクダサイ」

と水晶が言う。

リンユーは言われた通り左に進む。

中華街の通りをしばらく進むと、門をくぐって道路に面した道に出た。

「ソノ信号ヲ渡ッテクダサイ」

「え、ちょっと待って……」

30キロも離れたところに、この調子で歩いて向かったんじゃ日が暮れる。

リンユーはそう思い、携帯を取り出してある人物のもとに連絡した。


グエンが店で事務作業をしていると、携帯が鳴った。

画面には、「リンちゃん」と文字が表示されている。

慌てて携帯に出る。

「はい、グエンです。どうしたんだい?」

すると携帯の向こうから声がする。

「あ、ハゲ?今すぐ車出して欲しいんだけど」

「え、今かい?」

ちょっと困った様子でそう答えたが、

「ふーん。じゃあもう二度と電話しないわ」

とぶっきらぼうな返事が帰って来た。

「そ、そんな……今行くから待ってて!」

と急いで店を飛び出した。


グエンがセダンに乗って、リンユーのもとにやって来た。

「お待たせ」

リンユーが後ろに乗り込み、水晶を差し出した。

「このナビに従って道を進んで。アタシは寝てるから、着いたら起こしてね」

急に水晶を手渡されて、困惑の色を見せたグエンはこう質問する。

「え、どこに向かうんだい?」

リンユーはさも当たり前のようにこう答えた。

「そんなの知らないわよ」

水晶が案内を開始した。


みなとみらいから高速道路に乗り入れそのまま北上し、湾岸線を進む。

道はすいており、30分で目的の場所に到着した。

「着いたよ」

そこには、球体が特徴的な建物、「フジサンテレビ」が眼前にあった。


「ここって、フジサンテレビよね?」

ナビの案内では、フジサンテレビの建物内に入るようになっている。

「まさか、守護者ってアナウンサーなの?」

そんなことを考える。

「俺はどうしたらいい?」

車は路肩に止めていて、もしフジサンテレビに行くならコインパーキングで待っているとのことだった。

「じゃあ、ちょっと待ってて」

と言って、リンユーはフジサンテレビの方に向かっていった。


見学料を払い、エスカレーターを上っていく。

水晶は、

「ソノ道ヲ右ニ曲ガッテクダサイ」

と指示を出し、リンユーがそれに沿って進む。

建物内に入り、細い通路を進む。

その通路の脇には、ガラスのケースに入った人気バラエティ番組のアイテムなどが展示されている。

「めさイケ」などのグッズも置いてあり、思わず見てしまう。

「へえ~、初めて来たけど、結構面白いわね」

道なりに進むと、スタジオを覗ける場所に到着した。


ちょうど見下ろす形でスタジオが覗けるようになっている。

「目的地付近ニ到着シマシタ」

と水晶が案内を終了した。

スタジオでは収録が行われている。

カーテンが閉まっていてよく確認することはできないが、恐らくあの中に守護者がいるに違いない。

「客席にいる人かしら。それとも出演者?」

このままでは候補が多すぎるため、しばらく待つことにした。

番組の収録が終わって出演者が動けば、ナビも案内を再開するはずである。

「一旦外で待ちましょう」

そう思い、車に戻って行った。


コインパーキングでしばらく待っていると、ナビが再び案内を開始した。

「守護者ガ移動シマシタ」

もし番組を見学している客なら、そのまま建物から出てくるはず。

出演者なら、地下の駐車場から車で移動する確率が高い。

20分ほど経過した時だった。

一台のリムジンが道路を通過した。

「守護者ガ移動シマシタ。道路ヲ左ニ移動シ、前方ノ車ヲ追跡シテクダサイ」

「えっ」

そのリムジンに乗っている者こそ、今回探している朝陽門の守護者であった。




ゴール地点が定まらないまま投降w

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