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中華街ウォーズ  作者: oga
7/11

4つの門

話をどうつなげるかめっちゃ悩んだw

原付がリーダーの矛をはじき、間一髪ソウハは助かった。

リーダーがグエンを睨み付ける。

「貴様……」

「みんな、待たせたっ!」

グエンがそう言ったが反応はなく、ソウハが脇を通り過ぎて行った。

「ハゲ!あんた何しに来たのよ!」

キレ気味のリンユーがそう叫んだ。

「え?いや助けに……」

あまりの嫌われように、思わず戸惑うグエンであった。


リーダーに向き直ったグエンは改めてこう言った。

「会長の許可を貰って来た。正式にキャンセルだ」

しかし、リーダーはお構いなしと言った様子で、ソウハのところに向かおうとする。

「おい!」

グエンはチラとグエンの方を見てこう言った。

「お前の会長のキャンセルは承った」

そのままソウハに向かって、歩を進める。

「まて、どういうことだ?」


グエンは懐から銃を取り出し、リーダーに向かって構えた。

「そんな玩具の銃で何ができる?」

その銃は黒いスプレーで塗装された水鉄砲で、リーダーは一見してそれを見破った。

「甘く見ない方がいい。キャンセルが有効なのに何で兄弟を殺そうとする?」

リーダーは構わず進む。

「止まれっ」

グエンは銃を構え、その中の水に気を込めた。

そして、それを放つ。

押し出された水が宙を舞い、リーダーの足にかかった。

次の瞬間、

ドッシャアアッ……

リーダーは地面に倒れ込んだ。

はたから見たら、何もないところでつまづいたかのように見えたが、実際は気の攻撃を食らったためだ。

呆然として空を仰ぐリーダーに銃を突きつける。

「動くな」


「チェン爺!」

ソウハとリンユー、サモがチェン爺に駆け寄った。

「わしは……もうダメかも知れん……」

チェン爺に矛を突き立てていた男は、ソウハが走り出したことに気を取られ、その隙にチェン爺に倒された。

血に気を込めたのである。

しかし、出血多量により、もう長くはなかった。

「最後に、お前に伝えなければならないことある……」

チェン爺はリンユーを見て、そう言った。

「すぐ病院に運ぶわ!」

と言ったリンユーを止め、

「話を聞きなさい。これがわしの最後の伝言じゃ」

と息絶え絶えにそう言った。


中華街には4つの門がある。

朝陽門、朱雀門、延平門(えんぺいもん)、玄武門、と呼ばれる門である。

これらは幸福を取り込み、災いを逃がす、といった役割を持っている。

その中の朱雀門は、災いや不幸といった負の要因をせき止める役割をする。

これらの門には、守護者と呼ばれる門番がいて、中華街出身者の中から、それぞれの門番が選ばれる。


その朱雀門の前任の守護者こそ、リンユーの母親のリンであった。

リンを殺した黒幕は、中華街を陥れるために、朱雀門の開放をもくろんだ。

そのためリンを殺したが、朱雀門は開放されなかったのである。

原因が分からなかった黒幕は、しばらく身をひそめた。

理由は、守護者がリンからその最初の子どものリンユーに移っていたからである。

これはチェン爺も知らないことだが、家庭菜店で今回行った売り上げを伸ばす行為が、黒幕の手下の目に止まってしまい、リンに子供がいたことがバレたのである。

黒幕が矛使いに兄弟を殺すよう依頼し、同じ内容でグエンも依頼をかけた。

珍しいケースだが、依頼内容が別の依頼主と重複したため、グエンがキャンセルしてもそれが適用されなかったのである。


一連の内容をリンユーに話し、最後にチェン爺はこう言った。

「お前には重荷になると思って話さなかった……わしがいれば、と思っていたのじゃ。だが、こうなった以上、自分の力で解決せねばならぬ。だから、これから起こることを話す」

リンユー、サモ、ソウハがチェン爺の手を握り、涙をこらえながら話を聞く。

「伝承にはこうある。4つの門の守護者が集まり、大いなる災いを締め出すであろう。と」

「大いなる災いって何なの?」

「分からぬが、お前の母親を殺した男と関係があるとわしは思っている。ケリをつけねばならぬ。4人の守護者を探すのじゃ。この中華街のどこかに……ごほおっ」

「チェン爺!」

最後の力を振り絞り、兄弟にヒントを託す。

「わしの部屋に……ナビ水晶がある……それを使って探すのじゃ」

そう言うと、ぐたり、と倒れ込んだ。

チェン爺は息絶えていた。

「そんな……そんなっ」

リンユーは手で顔を覆い、泣き崩れた。

「うわあああああっ」

サモ、ソウハも涙をこらえきれず、泣いた。


グエンによって4人は矛使いは捕らえられた。 

そしてそのまま警察に身柄を預けた。

表向きはキャンセルしたということになっていたので、兄弟が生きていても辻褄はあった。

しかし、突然連絡が取れなくなったのを不審がられないようにするため、今回の件で4人はもう小林グループから手を引く、ということにした。


チェン爺が死に、しばらく憔悴していた兄弟だが、最後の頼みを聞くため部屋で水晶を探していた。

「これかしら?」

リンユーが棚に置いてある水晶を手に取った。

「これをヤフオクで売って、生活費の足しにしろってことかな?」

ソウハが聞いた。

「絶対違うだろ。こんなの100円でも買わないって」

サモがそう答えた時、水晶が光った。

そして、

「モクテキノモンヲ、イッテクダサイ」

と何やらしゃべり始めた。





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