2月の教室
寂しい匂いがするのは
寒さのせいだけじゃないな
まだ誰もいない教室で
白いカーテンを揺らした
時間が早く進むのは
季節だけの問題だろうか
座り慣れた自分の席で
頬杖をついてさ
何を見つめていたいんだろう
それも分からなくて
きっともう少しだけこのまま
座っていたいだけなんだ
廊下の方から楽しそうな声
誰かがもうすぐ来るらしい
ドアが開けられると同時に
魔法のベルが鳴った
無意味に笑い合えば
これで良いと思えるんだ
このまま何も変わらないと
そう考えてしまうよ
さっきまでの鬱屈した気分も
魔法にかけられみたいに
夢と現実の間を
彷徨っているだろう
眠気を終える時間は
あの気分を呼び起こした
周りを見渡せば
皆帰る準備をしている
夢心地が終わる気配に
彼らは表情を変えない
気づかないだけなのか
通り抜けた後なのか
離れていく足音
ここからは一人ぼっち
それぞれが鞄を背負って
どこかへと向かっていく
鬱屈した気分が手を伸ばして
夢と現実の間を抜けた
何も見えないその場所で
魔法のベルが鳴り響いた
寂しい匂いがするのは
寒さのせいだけじゃないな
誰もいなくなった教室で
一人鞄を手に持った
読んで頂き、ありがとうございました。