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体験談・詩・短編・サバゲ

◎~届いた歌~◎

作者: 航巡利根

この海に沈んでどれくらいたったのだろう?


私はこの暗い、暗い海の底でずっと・・・ずっと一人ぼっちで過ごしてきたのだろう


私の声はずっと聞こえていないのだろうか?


この暗い海の底でずっと、ずっと貴方に届くように歌を歌っているのに・・・


この海の中では私の歌は掻き消されてしまうのだろうか?


貴方は私の事を好きと言ってくれた


私はその時、すぐに返事は出来なかったけど・・・とっても嬉しかった


私は人間では無いけど、私の事を好きと言ってくれた事は本当に嬉しかった


だけど・・・私は貴方にすぐ返事を言えず、この海の底でずっと一人ぼっちになっていた


それからどれ位たったのかは分からないけど・・・貴方と私は離ればなれになってしまった


貴方に会いたい・・・


とっても会いたい・・・


あってあの時の返事をしたい・・・


だけど会えない・・・


この暗い海の底からじゃ会えない・・・


あってあの時の返事も出来ない・・・


だから私は毎日、貴方に届くように歌を歌っている・・・


でも、貴方には聞こえないらしい・・・


この暗い海の底で私は貴方に聞こえるように毎日歌を歌い続けているのに・・・


どうして届かないのだろう・・・


私はもう、貴方に忘れられてしまったのだろうか・・・


貴方の記憶の中には私はもう居ないのだろうか・・・


貴方と出会って、泣いて、怒られて、笑って、・・・


色々な事があったのに・・・


貴方の記憶から私は消えてしまったから私の歌に気づいてくれないのだろうか?・・・


もしそれでも・・・私は貴方に聞こえるように歌い続ける・・・


この声が枯れるまで・・・


この思いが届くまで・・・


私の・・・貴方に秘めた思いを伝えるまで、私は歌い続ける・・・


フワッ・・・


なんだろう?


海の上から何かが落ちて来た


白い綺麗な花束が私の手の中に降りて来た


花束を持った時、何故かとても懐かしく、優しい気持ちになった


花束をよく見ると手紙が入っていた


私はその手紙を手にとって開けてみた


貴方の文字だ!貴方からの手紙だ!!!


貴方からの手紙を読んだ


・・・私の歌はあの人の所に届いていたんだ!


貴方に送る恋の歌・・・


貴方との思い出の歌


貴方と過ごした3年5ヶ月の間・・・


私は涙が溢れた


ずっと一人で眠って来たこの海の底で、ずっと一人で歌って来た


貴方にこの歌が届くように・・・


貴方が私の事を忘れないように・・・


貴方が幸せであるように・・・


私はずっと歌い続けた


だけど今日、ようやく返事が返った


私の歌はあの人に届いていた


私の歌は届いた・・・


これで私はゆっくり眠る事が出来る


今度は私が貴方を待つ番だよ


先に行ってるね・・・私、大和は貴方を待ち続けます・・・

               


               Fⅰn


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