遠山くんとゲーセン
俺は一足先にゲーセンにいることにした。
そこでこういう場所が一番似合う男に出くわした。
「リア王」桜井だ。
「あれ?遠山くんチーっす!」
「ち・・・よ、よう」
なんだ「チーっす」って。もはや挨拶の領域を超えているぞ。
「遠山くんはこういうとこよく来るの?」
「お前よりは来ないな」
「え?俺はこういう所なかなか来ないよ」
「嘘をつくな。じゃあお前普段何やってんっだよ」
「えっと・・・女子たちとカラオケとか」
リア充発言キター!カラオケってひとりで行くもんじゃないの?
しかも女子"たち"って「たち」って複数系じゃねーか!
「遠山は一人で来たの?」
「いいや。森島・・
「え?デート!?」
桜井の目が輝いている。なんでリア充ってこんな話に食いついてくるの?
そして俺の視界の奥には走ってくるマイク・バ○ソンがいる。
「オーイ!トオヤマー(訳:おーい!遠山ー)」
桜井が一回モーリスを見てこっちに向きを変える。桜井からの「お前、嘘ついたろ」という視線が痛い。いや違うよ!嘘ついてないよ!「森島・・・」の後に「とモーリス」って言おうとしたよ!信じて!
「オオ!サクライクンジャナイカ!ドウシタノ?(訳:おお!桜井くんじゃないか!どうしたの?)」
「い、いや俺もう行かなきゃ」
どうやら桜井もモーリスを嫌っているらしい。POORモーリス。マジかわいそう。
「森島はまだなのか?」
「ウンコシテカライクッテイッテタ(訳:うんこしてから行くって言ってた)」
「じゃあ待つか」
「オッケー」
英語の発音悪っ!お前仮にもハーフなんだろーが!
~10分後~
「ごめ~ん、待った~」
「いや、今来たところ」
分かってました!もうこれやりたくねーよ!恥ずかしいよ!
「フタリトモハヤクシロ(訳:二人とも早くしろ)」
「あ、ああ」
「で、最初何するの?」
「サイショハユーフォーキャッチャーカラ(訳:最初はUFOキャッチャーから)」
「わかったわ」
「あ!」
やべ!モーリス印象悪化作戦考えるの忘れてた。
「ナンダヨ?(訳:なんだよ?)」
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
「ジャアドレカラトル?(訳:じゃあどれから取る)」
ここは難易度の高いものを選んでモーリスの無能さを教えてえやる
「あの大きいぬいぐるみとかはどうだ?」
「あ、いいね!欲しいー!」
「ヨッシャー!マカセロー(訳:よっしゃー!任せろー)」
モーリス挑戦一回目
『ストン!』
ええー!うそー!モーリスの顔を見る。まさにドヤ顔という表情。ハッまさか!コイツ!練習しやがったな!
おかしいとは思った。こんな難易度の高いもの、リクエストしても拒否するはずなのに、コイツ、策士か!
「きゃー!すごーい!」
森島が喜んでいる。ならば本気を出すしかあるまい。
「なぁモーリス、格ゲーやろーぜ」
「イイヨ(訳:いいよ)」
フッ馬鹿め!そんなお前は一度でも俺に格ゲーで勝ったことがあったか?
教えてやる、上には上がいるということを!
「ヨッシャー15レンショウ(訳:よっしゃー15連勝)」
絶句。まさに絶句。強すぎる!
「なぁもう帰ろうよ」
「エーマダオレニハヤリノコシタコトガ(訳:えーまだ俺にはやり残したことが)」死ぬの?
「私はもう楽しんだからいいけど」
「モリシマサンガイウナラ(訳:森島さんが言うなら)」
「よし帰ろう」
そう言って解散したのは5時だった
~帰り道~
何台もの消防車が僕の目の前を通って行った。
「なんだ?」
俺は胸騒ぎがして追いかける・・・
「な、なんだこれは!?」