遠山くんと決戦の地
~次の日~
朝学校へ行くと、また誰かが俺の机に座っていた。そいつは森島ではないとひと目でわかるようなゴツイ体格をしていた。肌も真っ黒。世界陸上で100m9秒台を叩き出したあの人に似ている。
「ヨウ、オセエヨ」
こいつの名はモーリス武田。黒人とのハーフだ。生まれも育ちも日本なのになぜかカタコトで話す。ちなみに俺の「クラスで友達になって欲しい人ランキング(男子)」では安定の21位。21人中だけど。俺がこいつを嫌う理由はこのカタコトが聞き取りづらく、会話が成り立たないからだ。だが、コイツは俺に積極的に話しかけてくる。どうやらコイツは俺のことが好きらしい・・・今思ったら俺の周りに俺のことが好きな奴しかいないな。ヤベー俺人気者だ。
「で、なんのようだ?」
「オイオイ、ヨウガナケリャ、トモダチニ、ハナシカケタラダメナノカ?(訳:用がなけりゃ、友達に話しかけたらダメなのか?)」
いつからお前と友達になったんだよ。
「ナァ、キョウ『ゲーセン』イコーゼ」
「京芸線?なんだそれ?」
「ゲーセンダヨ!ゲーセン」
「嫌だ。お前格闘ゲームのコーナーでマイク・バイ○ンのモノマネして人集めるからな」
「シテナイヨ!『ダッシュス○レート』ノマネシタダケダヨ!(訳:ダッシュスト○ートの真似しただけだよ!)」
「とにかく!俺はいかんぞ!」
「イイカラコイヨー!モリシマサンモクルッテイッタヨ(訳:いいから来いよー!森島さんも来るって言ったよ)」
「なん、だと!?」
落ち着け俺!まず森島はコイツの言葉を理解できたのか?しかも森島が行くってことは・・・
「オイ!モーリス!森島以外誰か来るのか?」
「イヤ、アトオマエダケ(訳:あとお前だけ)」
なんだと!ってことは俺が抜けたら、こいつと森島二人で、で、デ、デートってことになるじゃねぇか!それだけは何があろうとも食い止める!
「オイ、モーリス!俺も行くぜ」
「オウ!ソウコナクッチャナ、シンユウ!(訳:そうこなくっちゃな、親友!)」
「親友」にレベルアップしました。
「ジャアホウカゴ4ジ、ゲーセンイリグチシュウゴウ(訳:放課後4時、ゲーセン入口集合)」
「OK」
決戦の時までもう時間はない。策を考えねばな。
まずモーリスの悪い印象を森島に植え付ける。こうやって発芽しそうな芽を根から断ち切る。べ、べつに、森島のことなんか、心配してないんだからねっ!!
森島はかなり馬鹿だ。「お嬢ちゃん。飴あげるからついてきておいで」とか言われると、ドラクエのパーティー並みに密着してついていくからな。でも今まで俺が助けてきたから森島は無事なんだ。あんな馬鹿を保っていられるんだぜ。どう?守ってやっている俺、惚れてまうやろ?俺だったらイチコロだな俺に。
おっと、自分に惚れているうちに時間がブガッティ・ヴェイロン並の速さで過ぎていったようだ。もう3時半約束の時間まであと30分。
授業も終わったことだし、早めに敵情視察に向かうとするか。
TO be continue...