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はははうちうじん  作者: 葉山麻代


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2/5

その2

 そういえば祖母の葬式の時、制服がない高校だから普通の喪服を着て行ったら、年齢を把握していない親戚から酒を注がれて、冗談で「飲んでみようかな」と言ったら、「飲んでみれば?」と母が言い、「ビールより日本酒が良いぞ」と父が言い、「おー飲め飲め」と祖父が言った。

 ダメだ、早くなんとかしないと。未成年に対して誰も止めない。


 何となく、うちには世間の親のような、頭ごなしに止める人は居ないと悟った。自分自身がしっかりしないといけないらしい。


 後日この話をもう一度母にしたら、「私が成人の頃に父に同じことを聞いたら、『世間に出ていきなりアルコール中毒にならないように、どのくらい飲めるかの把握くらいはしておく方が良いぞ』と言われたからね」と、責任をぶん投げていた。

 母方のじいちゃんて、「ビールは酒じゃないぞ、名前に酒ってつかないだろ?」と言うくらいの、のんべだったと思い出した。

 ちなみに、母方のばあちゃんは、物凄く母に厳しかったらしい。



 ある時、母に特技を聞くと、「日本語間通訳」と、聞きなれない言葉を言った。

 意味を聞けば、母親さえ理解できない他人の幼子の言葉を通訳したり、知らない方言で話す相手の話を理解したり出来るらしい。


 曾祖母そうそぼが家に泊まりに来た時、方言がきつすぎて、父も祖父も会話が成り立たず、何言ってるのかわからないと話していたのに、初対面の母は、普通に会話していたらしい。

 祖母の母なので、祖母が話すのはわかるけど、何故母も会話が成り立つのか、父も祖父も不思議だったらしい。



 幼稚園に入る前まで、育児サークルに参加していた。

 そこで、泣きわめく他人の子供に、何で泣いているのか理由を聞いて、親に伝えて親に驚かれたことが、何度もあったそうだ。

 親でもわかんないのに、何でわかるの!? と、よく驚かれたと言っていた。


 母(いわく)、大人って、子供にはわからないと決めつけて、理由を録に話さず大人の都合で命令するのよね。子供にしてみれば、訳がわからず従えないってだけなのにね。


 成る程。そういえば母は昔から、難しいことも、何でもしっかり説明してくれる人だった。この話は、さすがに全て覚えているわけではなく、後日聞いた話の視点をこちらに移したものだ。


 3歳の頃、入院先で採血の注射の前に、


「とても痛いから泣いてしまうのは仕方ないけど、元気になるために必要だから、頑張って欲しいの。頑張ってくれたら、退院したあとに、好きなお菓子をたくさん買ってあげる。だから、頑張ってくれるかな?」

 そんな風に説明された。


「わかった!イチゴの○○を、7この7こかって!」

「うん。約束する!」


 そして、かなり痛かったけど、笑顔のまま数本の注射を乗りきった。

 注射を打ったお医者さんや腕を押さえる予定の数人の看護師さんに、物凄く誉められた。それはもう大絶賛だ。


 普通は、泣きわめく子供を、安全のために、むりやり数人がかりで押さえるらしい。母は、どうやって子供に説明したのか、看護師さんに聞かれていた。


「イチゴの○○7個かぁ。それは頑張っちゃうよね!」

「うん!」


 看護師さんには、暫く、伝説の子として語り継がれたらしい。退院後の検診に行ったとき、イチゴの○○の子!と呼ばれていたそうだ。


 因みに、7個と言った理由は、当時知っている最大数が「7」だったのだ。


「凄いね!ママでも注射は見ないのに」

「みてないと、いつおわるかわからないよ?」


 母は、血を見ると血の気が引くので、注射は見ない主義らしい。あ、ここは普通っぽい。まあ、これには理由があるのだが。


 母が学生の頃、文化祭に献血車が来ていたので、献血に参加したらしい。献血後、血が止まらずに抑えの綿を通過し、シャツに血がつき、それを係りの人が、血は落ちにくいからと、専用の洗剤でシャツの血のシミを拭き取ってくれていたのを見ていたら、ふと血の気が引いて気を失ったのだそうだ。

 30分ほど寝かされ、ステージ直前時間厳守の部活の集まりに10分遅刻し、激怒した顧問に理由を聞かれ、「献血したら貧血起こして、今まで寝かされていました」と説明したら、「良い事をしたのはわかった。だが、己の体調くらいは把握するように」と、呆れて怒りを沈めてくれたそうだ。それ以来、注射や血は見ないようにしていると言っていた。

 理由がコントのようだった。




 幼稚園に入園前、親戚から貰った絵本のカバーに、大きな星が描いてあった。当時何を思ったのか、その星をハサミで切り抜いた。

 母に見つかり、まず驚いた母は、どうして切ったのかと聞いてきた。

 紙に囚われているより、解放してあげたかった。という意味のことを話したらしい。(詩人か!)

 すると母は、先ずは、上手に切れたことを誉めてくれた。そのあと、これは本だから、本は切ってはダメなのよと教えてくれた。

 そうか。本は切ってはダメなのかと理解した。


 少し大きくなって、何故怒らなかったのかとこの事を聞くと、父は、幼稚園時代にハサミが苦手で苦労したらしく、かなり正確に切れている切り抜きに感心してしまい、父が喜ぶだろうと、母は、まず思ったそうで、それに、初めての事は怒っても仕方ないから、何故ダメなのかをきちんと説明したらしい。




 ところで、何で幼い子供に難しいことを説明しようと思い至ったのか聞いてみた。


「え?だって、自分が幼いときに、大人が録に説明してくれないのが、不満だったからねぇ」

「それって、いつ頃の話?」

「2~3歳?」


 ちょ、2~3歳の記憶があるの!?

 もちろん全てではないが、母には2歳くらいからの記憶が、有るらしい。

 もしかして、人生二周目なのか?



 ━━━━━母は宇宙人━━━━━

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