表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25年周期の都市伝説  作者: けろよん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/25

第23話 激闘の前夜

 黒川の手下たちが町を包囲し、緊迫した空気が広場を支配していた。町の住民たちは不安と緊張を隠せないまま、それぞれの立ち位置を守り、警戒を強めていた。彩花と翔太は、町の人々と一緒に戦う決意を固めていたが、黒川の存在は想像以上に強大で、思いのほか圧倒的な力を感じさせるものだった。


「どうする? 町の住民たちも怖がっている」


 翔太が少し緊張した様子で言った。


「みんな、まだ動揺してるけど、私たちがしっかりとした決意を見せないと、どうにもならない」


 彩花は冷静に答えた。


「町の未来がかかっているから」

「でも、黒川の手下の人数は多い。しかも、それぞれが腕の立つ者ばかりだ」


 翔太は視線を遠くに向け、黒川の手下たちを見つめた。


「もし戦闘になれば、全力で戦わなければならない」


 彩花はその言葉を聞き、深く息をついた。


「私たちだけじゃ、どうにもならない。町の人々を信じるしかない」


 そのとき、田村が歩み寄り、二人に言った。


「君たちの気持ちはわかるが、無闇に戦ってはダメだ。私たちが学んできたことを思い出してほしい」


 翔太と彩花は田村を見つめた。


「私たちが学んできたこと……?」


 田村はうなずきながら続けた。


「力を使うことの責任、それをしっかりと認識してこそ、本当の強さが得られる。今、私たちが挑むべきは、力による戦いではなく『心の戦い』だ」

「心の戦い?」


 彩花が首をかしげると、田村は静かに答えた。


「黒川のような者が町に現れたのは、私たちの心にまだ『力を使うこと』の恐れが残っているからだ。だから、私たちはその恐れを乗り越えなければならない。」

「力を使うことの恐れ……?」


 翔太は少し戸惑った表情を浮かべるが、田村は頷いた。


「未知の力に対して恐れ、どう使うべきか分からないから、つい他者を従わせる方法を取ってしまう。だが、私たちはそんな力に頼るべきではない」


 彩花はその言葉を胸に刻みながら、再び黒川の集団を見た。


「それなら、どうするべきなの?」


 田村は静かに微笑んだ。


「まずは、黒川の集団が何を求めているのか、しっかりと見極めることだ。無駄に力をぶつけるのではなく、相手の心の動きを読むんだ」


 その言葉に、翔太も彩花も少し安堵の表情を浮かべた。そして、三人は町の人々にそれぞれ伝えなければならないことを確認し合った。力を使う者としての責任を自覚し、無駄な戦いを避け、最良の方法を見つける。それが、彼らに課せられた新たな試練だった。




 その夜、黒川は町の広場の中央に立ち、冷徹な目で周囲を見渡していた。彼の背後には、無数の手下たちがその指示を待っている。黒川は冷笑を浮かべながら、手下の一人に声をかけた。


「明日、町の住民たちに最終通告をする。彼らが私の提案を拒むなら、その時が聖戦の始まりだ」


 手下は不安げな顔をして答えた。


「でも、町の人々は反発しています。力を使うことに疑念を持つ者が多い。どうすれば……」

「その疑念がどれほど強くても、力を見せつければ、すぐに消し去ることができる」


 黒川は冷徹に言い放った。


「そして、力を持つ者に従わせれば、全ては終わる」


 その言葉に、手下はうなずき、再び黒川の命令を待った。だが、黒川の目の奥には、何か他の計算があった。彼が求めていたのは、ただの支配ではなく、新たな秩序を築くこと。そのためには、町の人々がどこまで反発し、どこで折れるかを見極めることが必要だと感じていた。




 翌朝、町の広場に再び集まった住民たち。黒川が再びその場に姿を現し、冷たい目で町の人々を見渡した。そのとき、彩花は翔太と共に、前に出て、黒川に向かって静かに言った。


「黒川さん、私たちは力を使って町を支配するつもりはありません。私たちが望んでいるのは、平和な未来です」


 彩花の声は、どこか力強く響いた。

 黒川は彩花をじっと見つめた後、冷笑を浮かべながら答えた。


「君たちが望む未来など、ただの幻想に過ぎない。この町には、新たな秩序が必要だ。それを作るのが、私の役目だ」


 翔太が続けた。


「秩序が必要なのは分かります。でも、それは強制力で築かれるべきものではないと思う。僕たちは、町をみんなの力で築き上げたいんです」


 黒川の目が鋭く光った。


「それなら、私にその力を示してみろ」


 彼は不意に一歩前に進み、周囲の手下たちに命じた。


「その力を見せる時が来た。聖戦の始まりだ」


 黒川の手下たちは一斉に動き出し、彩花たちを取り囲んだ。その瞬間、町の住民たちが立ち上がり、町を守るために戦う覚悟を決めた。町の中から、すでに準備を整えていた者たちが駆けつけ、住民たちは団結して黒川に立ち向かうための姿勢を見せた。


「私たちには、もう恐れはない」


 彩花は自信を持って言った。


「町の未来を守るため、力を使うのではなく、心を合わせて戦う」


 その言葉に、住民たちの心が一つになり、黒川を前にしても恐れることなく立ち向かう決意がみなぎった。

 黒川はその姿を見つめ、しばらく黙っていた。そして、低く言った。


「面白い…… では、試してみよう」


 戦いの火蓋が切られようとしていた。だが、この戦いがどのように展開するか、まだ誰も予想していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ