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25年周期の都市伝説  作者: けろよん


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第19話  目覚めし力

 部屋の空気が重く静まり返った。片岡は田村をじっと見つめ、警備員たちも一歩前に出て、緊張感が漂っている。彩花と翔太は、何が起こるのか予測できず、ただその場に立ち尽くしていた。


 田村は片岡を見返し、冷徹な目を向ける。


「お前たちが追い求めている力には、封じられた理由がある。それを解放すれば、町どころか世界全体が変わるだろう。だが、それがどういう結果を招くか、お前たちは理解していない」

「理解していないのはお前だ、田村」


 片岡は不快そうに吐き捨てるように言った。


「力を抑えつけることは間違いだ。25年周期の今解き放ってこそ最大の奇跡で新しい時代が始まるんだ。君もその力の魅惑を知っているはずだろう」

「あの力を解放すれば、町を支配するだけでは済まない。俺たちは、もっと恐ろしいものを目にすることになる」


 田村の声は落ち着いていたが、そこには強い警告が込められていた。

 片岡は冷笑を浮かべた。


「恐ろしいもの? それがどうした? 恐怖を制御できる者こそが本当の支配者だ。お前もその一部なのだ、田村。自分の守りたい町を、支配して何が悪い?」


 田村はその言葉に少しの間沈黙し、そして一歩踏み出した。


「俺たちは、その力を理解する前に、もう一歩進んでしまっている。そこは奈落だ」


 その時、片岡が手を挙げ、警備員たちに命じた。


「捕まえろ。そいつに発砲する度胸は無い」


 一瞬で警備員たちが動き出したが、田村はまるでその動きを予測していたかのように、素早く一歩踏み込んで、腕を振るった。彼の周囲に強い風が渦巻き、その場にいる全員が驚きの声を上げた。


「なに――!? この力は……」


 翔太が目を見開く。

 その瞬間、田村の周囲で強烈なエネルギーの波動が発生した。光の粒子が空気を震わせ、周囲の空間が歪み始めた。彩花はその光景を見て、体が震えるのを感じた。


「これは……奇跡の力?」


 彩花は呆然とつぶやく。

 片岡もその異常な現象に目を見開いた。


「お前……あの力の一端を手にしていたのか」


 田村は拳を下ろして、静かに言った。


「力を手にする魅力も、それがもたらす代償も知っている。私は、これまで封印していた。それが私たちの選択だったから」

「封印? 持っていながら使わなかったというのか?」


 片岡が挑発的に言う。

 田村は冷徹に答えた。


「封印することこそが、町を守る唯一の方法だ。この力が世に放たれたならば、その先に待つのは闘争と破壊だ」


 その言葉が部屋に響くと同時に、翔太が一歩前に出た。


「ならば、力を使って片岡を倒すんですか? それで町を守れると思っているんですか?」

「翔太、冷静になって」


 彩花が焦る声を出す。

 田村は静かに翔太を見つめ、言った。


「私は、力を使うことを選んだのではない。君たちの選ぶ、力を使わずにこの町を守る方法を守ったのだ」

「そうは言っても、片岡のような者たちをどうやって止めるんですか?」


 翔太が反論する。


「答えはまだ見つかっていない」


 田村は一度、深く息を吸った。


「だが、君たちの力だけが全てではない。力を持たずに戦う方法を探さなければ、町は確実に破滅する」


 その言葉に、彩花は一瞬気づいた。そうだ、もし田村が本当にその力を使いこなせるのなら、今すぐに片岡を倒すこともできたはずだ。しかし、田村は必要以上に力を使うことを選ばなかった。それには深い理由があるのだと、彼女は直感的に感じ取った。


「じゃあ、どうするんですか?」


 彩花が静かに尋ねた。

 田村は再び、周囲を見渡しながら答える。


「ここからは、君たち自身の選択の時だ。君たちの力だけでなく、町の人々と共に力を合わせなければならない」


 その言葉を聞いた瞬間、部屋の中に響く一つの音。何かが動き出した音だ。すると、部屋の入口から人影が現れた。


「田村さん、彩花さん、翔太さん」


 その声に振り向くと、そこには町の古参の住民たちが集まっていた。彼らはみな、顔に覚悟を決めた表情を浮かべている。


「町の人たち……どうしてここに?」


 彩花は驚きながら尋ねた。


「私たちも、町を守りたくて」


 そのリーダー格の人物が、落ち着いた声で言った。


「もう、誰かに任せてばかりはいられない。力を使わずに町を守る方法を、みんなで見つけたいと思って来た」


 翔太は驚きと共に、その言葉を噛み締めた。


「つまり……僕たちだけじゃなく、町全体が力を合わせるべき時だと?」

「その通り」


 リーダーが頷いた。


「君たちが道を示してくれたからこそ、私たちも一緒に歩む覚悟を決めた。」


 片岡はその様子を見て、顔をしかめた。


「馬鹿な……町の人々が協力するだと? そんな事が何の利益に繋がると言うのだ」


 田村はその場で静かに手を挙げ、片岡に向かって言った。


「損得だけの問題ではない。我々は立ち上がった。君たちが進もうとしている道は、暴走している。そしてその先に待つのは、破壊だけだ」

「破壊……だと?」


 片岡は笑いながら言う。


「お前のような力を持っている者が、支配せず町を守ろうとするのは、滑稽だ」


 その瞬間、彩花の中で一つの答えが明確になった。力だけではなく、信じ合う気持ちや協力する心がこそが、町を守る唯一の方法だ。そしてその気持ちが集まったとき、どんな困難も乗り越えられる。


「片岡さん、あなたは間違っている」


 彩花が静かに言い放った。


「そうだ。俺も気づいたんだ」


 翔太も続けた。


「力で支配することこそ、最も恐ろしいことだ」


 その言葉を聞いた片岡は、しばらく黙っていたが、やがて冷笑を浮かべて言った。


「ならば、君たちの選択がどうなるのか、見てみよう」


 片岡は周囲の警備員に合図を送ると、ゆっくりと後ろに下がった。

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