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25年周期の都市伝説  作者: けろよん


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第18話 隠された真実

 足音が徐々に近づき、二人の心拍が速くなる。隠れる場所は限られており、息を潜めることしかできない。通路の中で、彩花と翔太は微動だにせず、その声を聞き取ろうとしていた。


「おい、見張りをしっかりしろ。ここには誰も近づけるな」


 声が通路の奥から響く。低く、鋭い声だ。


「はい、すぐに警備を強化します」


 別の声が返答する。その声も冷徹で、無機質な響きがあった。

 彩花は翔太に小さく合図を送り、慎重に後退しながら壁に背をつけた。足音が近づく中で、心の中で「今がチャンスだ」と感じた。隠れている場所からは、少しだけ先の部屋の様子が見える。そこにいる人物が誰か、何をしているのかを知ることが、今後の一手を決める鍵になる。


 やがて、足音がすぐそばで止まった。二人は息を呑み、さらに身を縮める。すると、突然、通路の角から一人の男性が現れた。その顔には薄らと汗を浮かべ、鋭い目つきで周囲を警戒している様子だった。


「何だ、誰かいるのか?」


 男は小声でつぶやきながら、振り返った。彼の足音が止まって目線が逸れた瞬間、彩花は意を決して動き出した。


「翔太、行こう」


 静かに言いながら、彩花は足音を忍ばせ、後ろの部屋に進んでいった。

 翔太は軽く頷き、すぐに後を追った。音を立てずに動くことができたおかげで、彼らは部屋の前に辿り着くことができた。しかし、扉は重く、すぐには開けられそうにない。そこで翔太が静かにドアを押し、少し隙間を開けた。


 中から見える光景に、二人は驚きの声を上げそうになった。広い部屋の中に並んでいるのは、大きなテーブルの上に広げられた書類や資料、そして、見慣れない装置だった。壁には、何かの古い地図や町の地下構造が描かれている。その中でも特に目を引いたのは、テーブルの中央に置かれた一冊の本だ。それは、普通の本とは思えないほど古びており、金色の文字が表紙に浮かび上がっていた。


「これが……?」


 翔太が小声で呟く。

 彩花はその本に目を固定した。何か強い引力を感じるような気がして、無意識にその本に引き寄せられるように手を伸ばした。だが、その瞬間、突然、扉の外から声がした。


「おい、何をしている?」


 二人はすぐに隠れる場所を探したが、間に合わなかった。扉が開き、そこに立っていたのは、あの男――再開発計画に深く関わっている人物の一人、片岡だった。


「お前たち、ここで何をしている? 怪しいな」


 片岡は冷たい目で二人を見つめた。彼の背後には、警備員が数人控えていた。


「ここには何があるんだ……?」


 翔太が口ごもりながらも尋ねる。

 片岡はにやりと笑うと、「お前たち、まだ何も知らないようだな」と言った。その言葉に、彩花は強い違和感を覚えた。


「私たちの知らない事……?」

「そうだ。君の父親の伝えなかった事だ」

「知っていて……!?」

「あいつは我々の間では有名人だからな。君にもその面影がある。思い出したよ」


 片岡は冷徹に答える。


「この町の秘密を、お前たちはまだ知らない。その力、そしてその力を手に入れることで、私たちの計画が成功する。君たちがやろうとしていることなんて、すでに意味がないんだ」


 その言葉に、彩花の胸が締め付けられる思いがした。


「私たちの計画が、意味がない?」


 片岡はそのまま歩み寄り、手をかざすように部屋の中を指し示した。


「この町は、力がなければ成り立たないんだ。そしてその力は、お前の父が封印したものだ。あの箱の中にある力、それを手に入れた時、この町は完全に私たちのものになる」

「それが、あなたたちの本当の目的なんですか?」


 翔太が怒りを込めて言った。


「そうだ。あいつのせいで計画が25年遅れた。だが、取り戻せない時ではない。町は今でも変わっているのだから、盤石となるだけだ」


 片岡はにやりと笑った。


「お前たちがどんなに力を使わずに町を守ろうと努力したところで、結局は力を持つ者が勝つ。お前たちがその力を開放しなければ、私たちがそれを手に入れるだけだ」


 その言葉に、彩花は愕然とした。これまで信じてきた「力を使わずに町を守る方法」が、もはや無力であるかのように思えた。しかし、すぐに頭を冷やし、心を落ち着ける。今は焦る時ではない。


「でも、あなたたちがそれを使うことで、この町がどうなるか分かっているんですか?」


 彩花が問いかけた。

 片岡は少し間を置いてから言った。


「この町は、進化するんだ。古いものを捨て、新しいものを受け入れる。力を持つ者が支配することで、町は未来を切り開く。君たちには、理解できないだろうな」


 翔太が歯を食いしばって言った。


「お前の考えは間違っている。力で支配することが未来を切り開くんじゃない。みんなの力を信じることが、本当の未来を作るんだ!」


 片岡は笑みを崩さず、最後に一言だけ言い放った。


「そう信じるのもいいだろう。若者らしく青臭く実に瑞々しい。だが、君たちの未来は、もうすぐ終わる」


 その言葉と共に、警備員が二人を取り押さえようとした。しかし、瞬時に部屋の奥から別の人物の声が響いた。


「待て」


 その声に、片岡と警備員たちは一瞬足を止めた。扉の向こうから現れたのは、意外にも田村だった。


「田村さん!」


 彩花が驚いて声を上げる。

 田村は冷静に片岡を見つめ、言った。


「お前たちの計画は、もう終わった。国を守るのは警察の仕事だ。彩花さん、翔太くん、今すぐここから出て。これ以上、君たちを巻き込むわけにはいかない」


 片岡は一瞬驚いたような顔をしてから、にやりと笑った。


「お前も裏切るのか、あいつのように。支配者になれるのになぜなる気にならないのか理解できんな」


 田村は一歩前に出て、静かに言葉を続けた。


「あの力は魅力的だ。ただ、これ以上町を危険に晒すことはできない。お前たちが追い求める力には、代償が伴う。それを理解しろ」


 静寂が部屋に広がった。

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