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25年周期の都市伝説  作者: けろよん


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第15話 町の未来

 夜の静けさが、町を包み込んでいた。星明かりがひとしずくのように街角を照らす中、彩花と翔太は二人、並んで歩いていた。坂本との対峙から数日が経ち、町の中でも何かが変わり始めているのを感じていたが、依然として解決しなければならないことが山積みだった。


「坂本さん、何か黙って帰っていったけど、あの後どうなったんだろう?」


 翔太が、歩きながら言った。


「分からない。でも、あの時の坂本さん、少しだけ……何かを諦めたような気がした」


 彩花は静かに答えた。彼女も感じていた。坂本はあんなに冷徹で力を求めていたのに、あの時、どこかで引き返す決断をしたような気がした。


 分かりあえたのは嬉しいが、それでも心のどこかで「本当にこれでよかったのか?」という不安が湧き上がってくる。力を解き放つことなく、町を変えることが本当にできるのだろうか? それは果たして正しい道だったのだろうか?


「町は……どう変わっていくんだろうね」


 翔太が再び口を開いた。彼の声にはどこか少しだけ未来への期待が感じられた。


「彩花のお父さんが守ろうとしていたもの、坂本さんが言っていたことが本当なら、力を使って町を再生するっていうのも一つの道かもしれない。でも、俺たちの選んだ道も、きっと間違っていないと思う」


 彩花はその言葉を静かに受け止めた。彼女もまた、答えが見つからないまま歩いている。それでも、選んだ道を信じるしかないことは分かっていた。


「私たち、町のためにできることをしていかないと」


 彩花がしっかりとした声で言った。


「お父さんもきっと、私たちに託してくれたんだと思う。封印を解くことなく、伝説の力に頼らず、町を救う方法を」


 翔太はその言葉を聞き、頷いた。


「うん。力で何でも解決する時代じゃない。恐れずにどう考えて立ち向かうかが大事なんだと思う」


 その時、町の中心にある広場に差し掛かると、突然、背後から声がした。


「おい、待て!」


 振り向くと、そこに立っていたのは、坂本だった。彼の姿が予想外の場所に現れたことに、彩花と翔太は驚きを隠せなかった。


「坂本さん?」


 彩花が問いかける。

 坂本は少し息を切らしながらも、静かに歩み寄ってきた。その顔には、いつもの冷徹さだけでなく、どこか緊張した表情が浮かんでいた。


「何かあったんですか?」


 翔太が警戒しながら聞く。

 坂本は少し立ち止まり、何度か呼吸を整えると、言った。


「君たちが選んだ道に、もう一つ試練が待っている」


 彩花は眉をひそめた。


「試練?」

「町の再開発計画は、もう止められない」


 坂本は言葉を続けた。


「君たちが封印を守ろうと決めた結果、この力を手に入れようとしていた者たちが動き出した」

「何を言っているんですか?」


 翔太が声を荒げた。

 坂本はその言葉に答えず、さらに深刻そうに言葉を続けた。


「君たちが封印した力を解放しなかったことで、権利が移ったんだ。25年周期が迫ろうとする今、お父さんのした封印はもう無いも同然になっている。裏で箱を手に入れようとする勢力が動き出したんだ。特に、町の一部の大企業と政府の関係者たちは、この力を使って再開発計画を加速させ、完全に支配しようとしている」


 彩花の心が一瞬で凍りついた。


「まさか……?」


 坂本は重い眼差しで続けた。


「力を解き放つことなく、再開発計画を阻止しようとする君たちの選択は、すでに彼らにとっては無意味だ。そして、その力を手に入れようとする者たちの目的は、単に町を発展させることだけではない。彼らは、この町を完全に支配し、その力で自らの目的を達成しようとしている」


 翔太は冷静さを取り戻し、問いかけた。


「じゃあ、今更戻れって言うんですか? 彼らより先にあの箱に頼れと」


 坂本はその問いには答えず、ただ一言だけ呟いた。


「君たちが選んだ道を信じるなら、この町を守るために戦う覚悟を持たなければならない。自分たちの力で」


 その言葉に、彩花は黙って坂本を見つめた。彼の言葉が重くのしかかる。町の未来を変えるために、奇跡に頼らず進むと決めた。けれど、今、それを利用しようとする者たちが現れたことで、再びその力を使わざるを得なくなる可能性もある。


「でも、力を使わずに町を守る方法があると信じている。奇跡は私たちの手でも起こせる」


 彩花はゆっくりと言った。


「私たちが選んだ道が正しいと信じているから」


 坂本は彼女の言葉をしばらく黙って聞いていたが、やがて深いため息をついた。


「君たちがそれでよければ、私も手を貸すことはできる。でも、どんな結果になるかは分からない。人は奇跡の前では無力だ」


 その後、坂本は再び静かに立ち去った。彼の背中が遠ざかるのを見つめながら、彩花は心に強い決意を抱いた。もう、後戻りはできない。選んだ道を信じ、町を変えるために戦う覚悟を持つしかない。


「翔太、これからどうする?」


 彩花が振り返り、彼に尋ねた。

 翔太はしばらく黙って考え、そしてゆっくりと答えた。


「力を使わずに町を守る方法を見つけよう。それができれば、きっとこの町の未来も変えられる。ここで25年の周期を断ち切るんだ。もう犠牲は出さない」

「うん、お父さんもきっと応援してくれている」


 彩花はしっかりと頷いた。二人の前には、まだ見ぬ試練が待ち受けている。しかし、今度こそ彼女は、決して諦めないと心に誓った。


 町を守るため、未来を変えるために、二人の戦いはこれから始まるのだ。

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