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25年周期の都市伝説  作者: けろよん


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第12話 影の中に潜むもの

 資料館の扉が閉まる音が響いた。加賀谷の警告が、二人の心に重くのしかかる。翔太と彩花はしばらく無言で立ち尽くし、その言葉が胸の中で反響していた。だが、どうしても歩みを止めるわけにはいかなかった。何かを知りたい、真実を暴きたい、そしてお父さんが守ろうとしていたものが一体何なのかを突き止めることが、二人の唯一の目的となっていた。


「行こう、翔太」


 彩花が最初に口を開いた。


「私たちの選ぶ道はもう決まってる。どんなに危険でも、真実を明らかにしなきゃ」


 翔太はうなずきながら言った。


「うん。でも、加賀谷さんが言っていた通り、この町にはまだ知らないことが多すぎる。『遺物』が何かを突き止めない限り、僕たちにはどうしようもない」


 彩花はその言葉に頷きながらも、少し考え込んだ。

 加賀谷の話では、「遺物」は町の地下に埋められているらしい。しかし、どこにあるのか、その正体は何なのか、手がかりが全くない。

 唯一の手がかりは、帳簿に書かれていた土地の取引記録だ。


「私たち、あの土地の再開発計画が本当に行われているのか、もう少し調べてみないといけない」


 彩花がつぶやいた。

 翔太はスマートフォンを取り出し、資料館で見つけた情報を検索し始めた。


「再開発計画の中で、土地の譲渡先が不明っていうのは気になるな。たぶん、何か隠されているはずだ」


 その時、翔太のスマートフォンに突然、匿名のメッセージが届いた。画面にはただ一言、「地下の秘密を知りたければ、旧市街の倉庫に来い」とだけ書かれていた。


 彩花はそのメッセージを見て眉をひそめた。


「これ、誰からだろう…?」


 翔太は少し警戒しながらも、即座に返信することはせずに考え込んだ。


「怪しいな。でも、今の僕たちには手がかりが必要だし、試しに行ってみる価値はあるかもしれない」

「旧市街か……」


 彩花は少し考え込むように言った。


「誘い込む罠かもしれない。何かあったらすぐに逃げる準備をしておきましょう」


 翔太はスマートフォンをしまい、軽くうなずいた。


「わかってる。僕も警戒しておくよ」


 二人はすぐにそのまま車に乗り、町の旧市街へと向かった。

 町の中心部から少し離れた場所にあるその倉庫は、時代遅れで使われていないように見えた。朽ちた壁、錆びた扉、そして中からは何かが物音を立てているような気配が漂っていた。


「ここだね」


 翔太が低い声で言った。

 彩花は少し不安そうに辺りを見回しながら言った。


「怖い……でも、行くしかないわね」


 二人は慎重に倉庫の扉を開け、中に足を踏み入れた。中は暗く、ほこりが舞っていた。古い機械や箱が散乱しており、まるで時間が止まったような空間が広がっていた。


 突然、背後で扉が閉まる音がした。二人が振り返ると、影の中に人影が現れた。彼の姿はぼんやりとしか見えないが、その存在感はすぐに伝わってきた。


「来たか」


 その人物の声が低く響いた。声の主は、しばらく前に町で見かけたことがある人物だった。彼の名前は坂本。かつて町の土地開発に関わっていた実業家だったが、突然姿を消していた人物だった。


「坂本さん?」


 翔太が疑問の表情を浮かべた。


「あなたがあのメッセージを送ってきたのですか?」


 坂本は少し笑みを浮かべながら、ゆっくりと歩み寄った。


「君たちが掴んでいる情報は、もう少しで危険な一歩を踏み出すところまで来ている。さらに先へと進む前に、少しだけ話をしよう」

「危険な一歩……?」


 彩花が警戒しながら聞き返した。

 坂本はその問いに答えず、代わりに倉庫の奥に続く小さな扉を開けた。


「こっちだ」


 そう言って、二人に先に行けと合図を送った。


 二人は言われるがままに歩き始めた。坂本は黙って後ろからついてきた。狭い通路を抜けると、そこには地下へと続く階段が見えた。


「地下……?」


 翔太が少し驚いた様子で言った。


「ここに、『遺物』がある」


 坂本が短く答えた。

 彩花と翔太は互いに視線を交わし、何も言わずにその階段を降り始めた。階段を降りると、地下には広い空間が広がっており、何か巨大なものが隠されているような気配が漂っていた。


 その空間の中央に、一つの大きな鉄の扉があった。その扉には錆びた鍵が掛かっており、周囲には不穏な雰囲気が漂っていた。


 坂本はその扉に向かって歩み寄ると、突然立ち止まり、二人を振り返った。


「ここに、お前たちが探しているものがある」


 彩花は思わず息を呑んだ。


「ここに……」


 翔太はしばらくその扉を見つめた後、決意を込めて言った。


「開けてみよう」


 坂本は深いため息をついた後、錆びついた鍵を外し、扉を開けた。


 その先に待っていたもの――それは、二人が想像もしなかった、恐ろしい光景だった。

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