表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25年周期の都市伝説  作者: けろよん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/25

第10話 迫る影

 村上の登場に、彩花と翔太は思わず固まった。彼は予想以上に冷徹で、まるでその場にいることが当たり前のように振る舞っていた。その目には、まるで長年隠してきた秘密がとうとう表に出ることを知っているかのような、落ち着いた自信が漂っていた。


「村上……」


 彩花は息を呑んだ。


「あなたがここにいるということは、私たちが調べていることを知っているということですよね?」


 村上はゆっくりと歩きながら、その視線を二人に向けた。


「君たちが掴んだ情報は、非常に危険だ。それに気づかないまま手を出してしまったことが、君たちの最も大きな過ちだ」


 翔太は身を引き締めて言った。


「だからと言って、引き下がるわけにはいかない。あなたが関わっていることを知った以上、僕たちは真実を明らかにする」


 村上は静かに微笑んだ。


「君たちが真実を暴けば、何が起こるか、分かっているのか? この町の秘密はお前たちの手に負えるようなものではない。25年前、君の父親が選んだ道、それを超える力を持つ者は、もう誰もいない」


 彩花の心臓がドクンと音を立てた。村上の言葉に込められた暗示的な意味は、確かに計り知れない重みを持っていた。それでも、彼女は立ち止まるわけにはいかない。


「お父さんが選んだ道……?」


 彩花はその言葉を繰り返しながら、村上を鋭く見つめた。


「25年前、町を守るためにお父さんが何をしたのか、あなたは知っているんですね?」


 村上はその質問に対して、軽く首をかしげると、冷徹に答えた。


「君の父親が選んだのは、決して『町を守るため』ではない。彼は自分の大切な命を守るためにあらゆる手を使った。そして、その結果が今、君たちの手に渡っている」


 翔太はその言葉に反応し、すぐに問い詰めた。


「どうして今、あなたからこうして僕たちに接触してきたんですか? 何が目的ですか?」


 村上は一歩前に進み、静かに答えた。


「君たちが調べ続ける限り、君たちの未来はない。だが、君たちが手を引くなら、命だけは守ると約束しよう」

「命だけ……?」


 彩花はその言葉を聞きながらも、冷静を保っていた。


「どうしてそんなことを言うんですか?」


 村上は一瞬、息をついてから、重々しい口調で言った。


「君たちが見ているのは、あくまで小さな部分に過ぎない。君の父親が関わったのは、町の上層部だけでなく、より大きな力が絡んでいる。再開発計画の背後には、外部の企業、政治家、そして……私たちのような存在がいる。君の父親はそれを知って、ある選択をした。それが君たちの未来を決定的に変えることになる」


 彩花と翔太は息を呑んだ。


「でも、それならお父さんは、町を守るために命を賭けたんじゃないんですか?」


 村上は冷たく笑った。


「君の父親は、単に生き残りたかっただけだ。町の未来を守るために選んだわけではない。そのために彼が払った『代償』こそが、君たちが今、掴んだ手帳の中にある」


 彩花は頭の中でその言葉を繰り返し、心の中で迷いが深まっていった。父が選んだ道、それは一体どんなものだったのか? そして、その代償とは何を意味しているのか? 彼女が知るべき真実がますます遠く感じられる。

 村上は二人を見つめながら続けた。


「君たちが進もうとしている道の先に待っているのは、破滅だ。君の父親もその道を知っていたから、君たちに真実を語らなかった。しかし今、君たちが掴んだ手帳こそが、その道の扉を開ける鍵となる」


 翔太は腕を組んで考え込んだ。


「でも、そうだとしても、真実を知りたい。それがたとえ、町が壊れる原因になるとしても、僕たちはそれを暴かなければならない」


 村上の目が冷徹に光った。


「君たちの覚悟は、すでに裏目に出ている。だが、私は君たちに選択肢を与える。真実を知りたいのなら、私についてこい。そして、すべてを受け入れろ」


 彩花は強く一歩前に踏み出した。


「私たちは、あなたの言うような道には進まない。真実を知って、町を守る方法を見つける。それが私たちの選ぶべき道だ」


 村上は無言で彼女を見つめ、ゆっくりと顔を上げた。


「それでも、君たちの運命は私の手の中にある」


 村上は冷たく微笑むと、二人をその場に残して、再び闇の中へと消えていった。


 彩花と翔太はしばらくその場に立ち尽くしていた。村上が言ったことが、今後の彼らにどれほどの影響を与えるのか、まだ分からなかった。だが、二人の心に確かなものがあった。それは、もう後戻りできないという覚悟だった。

 翔太が静かに言った。


「村上の言っていることが本当なら、君のお父さんが選んだ道にはきっと深い理由があるんだろう。でも、たとえ何が待っていても、僕たちはその先に進むしかない」

「ええ」


 彩花は力強く答えた。


「私たちが掴んだ手帳が、町を守るための鍵だと信じて、進みましょう」


 二人はお互いを見つめ合い、再び足を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ