1-9 普通
急いで洞穴に戻るモルテ。
「マレク無事で...」
「モルテ...!!」
食い気味にモルテに向かって抱きつく。心配だったのだろう。モルテは無言で抱き返した。
「怪我は!?」
「してません」
「ほんとに!?」
「ほんとです」
「よかった...よかったああ...」
心から安堵するマレク。
2人は洞穴で様子を見ることにした。モルテが万全でない以上、迂闊に動くのは得策ではない。
モルテの顔を見つめるマレク。モルテは帰ってきてから浮かない顔を続けている。何かあったのだろうか。
マレクは知っている。モルテが悲しそうにする時は大半が自分が理由なことを。
「モルテ、僕のことについていい加減教えてよ」
「何のことです?」
「僕のためにもう抱え込まないで。何も知らないままは...すごく悲しいよ...」
泣きそうな顔でモルテを見つめる。
(参ったな...そんな目で見られたら...)
思わず目を逸らしたくなるが、彼の想いを受け止めねばならない。逃げることは許されない。
マレクの真摯な姿に向き合わねば。こちらも誠実に。思考しながらゆっくりと言葉を紡ぐ。
「...俺が不甲斐ないばかりにあなたに負担をかけてばかりだ。あなたに普通に生きてほしかった。だから隠してたんです。知ったらもう戻れません。その覚悟はありますか?」
「うん。どっちみちもう非日常に巻き込まれちゃってるし。モルテと一緒にいられるなら、モルテの苦しみを分かち合えるなら、よろこんで」
モルテは嬉しいような、悲しいような、感情が複雑に入り乱れた表情をしていた。
「分かりました。まず、この世界について説明します。世界の根幹に関わる話ですから」
マレクは気づいた。今度はモルテが泣きそうな顔をしていることに。




