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氷の記憶と不滅の者  作者: たなみた
1章

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9/31

1-9 普通

 急いで洞穴に戻るモルテ。

「マレク無事で...」

「モルテ...!!」

 食い気味にモルテに向かって抱きつく。心配だったのだろう。モルテは無言で抱き返した。

「怪我は!?」

「してません」

「ほんとに!?」

「ほんとです」

「よかった...よかったああ...」

 心から安堵するマレク。

 2人は洞穴で様子を見ることにした。モルテが万全でない以上、迂闊に動くのは得策ではない。

 モルテの顔を見つめるマレク。モルテは帰ってきてから浮かない顔を続けている。何かあったのだろうか。

 マレクは知っている。モルテが悲しそうにする時は大半が自分が理由なことを。

 「モルテ、僕のことについていい加減教えてよ」

  「何のことです?」

 「僕のためにもう抱え込まないで。何も知らないままは...すごく悲しいよ...」

 泣きそうな顔でモルテを見つめる。

(参ったな...そんな目で見られたら...)

 思わず目を逸らしたくなるが、彼の想いを受け止めねばならない。逃げることは許されない。

 マレクの真摯な姿に向き合わねば。こちらも誠実に。思考しながらゆっくりと言葉を紡ぐ。

「...俺が不甲斐ないばかりにあなたに負担をかけてばかりだ。あなたに普通に生きてほしかった。だから隠してたんです。知ったらもう戻れません。その覚悟はありますか?」

「うん。どっちみちもう非日常に巻き込まれちゃってるし。モルテと一緒にいられるなら、モルテの苦しみを分かち合えるなら、よろこんで」

 モルテは嬉しいような、悲しいような、感情が複雑に入り乱れた表情をしていた。

「分かりました。まず、この世界について説明します。世界の根幹に関わる話ですから」

 マレクは気づいた。今度はモルテが泣きそうな顔をしていることに。


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