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1-8 赤
「さてと。やりますか」
気怠そうに銀世界を歩く。武器である刀を抜き、体に冷気を帯びていく。
無防備に見えるモルテに容赦なく矢の雨が浴びせられる。しかし刺さることはなかった。何かに弾かれているように逸れていく。氷の塊だ。モルテの周囲を守るかのように浮遊している。
「そこ」
氷の塊を飛ばす。飛ばした方向に苦悶の声と倒れる音が聞こえる。矢の方向から敵の位置を探っていたのだ。
刀を敵の首筋に当てる。
「何が目的ですか?」
「俺は何も知らされてない...命令されただけで...」
嘘はついていないようだ。
「誰が命令したんです?」
「...」
「答えないのなら生かす理由はないですね」
「...ハイス」
「...なるほど。合点がいきました」
次の瞬間、氷柱が敵の体を貫いていた。
「な...んで...」
「答えてくれたら生かすとは言ってないんで」
銀世界を赤く染めていく。
「マレク...」
モルテは思いつめたような表情でぽつりと呟いた。




