1-4 守る
「ん...」
あたたかい感触。小刻みに振動が伝わってくる。ゆっくりと目を開けると黒く大きな背中が視界に入り込んでくる。
「起きました?」
マレクを背負いながら歩を進めるモルテ。
「あれ!?僕寝てた...!?」
「疲れてたんでしょ。無理もないですよ、だって...」
モルテは持っていた刀を乱暴に振り抜く。
「こんな状況なんですから」
衝撃が伝わりびくりと肩を震わせるマレク。モルテの足元に何かが突き刺さる。背中から身を乗り出して確認すると、それは鋭利な矢であった。モルテが防いでなければ確実に自分を貫いていただろう。
「え、あ」
幼子であるマレクは事態を呑み込めていない。
「怖かったら目をつぶっててください。傷1つつけさせないので」
モルテの言葉に少し安心したのか、思考が明朗になる。眠りに落ちる前のモルテは雪崩を止めるため満身創痍だったはずだ。はっ、と弾かれたように顔を上げる。
彼の呼吸が普段より粗い。彼の首に回してある手をシャツの内部へと滑らせる。ぐちゃ、と不快な音とともに掌に赤い染みが付着する。
「っ...!!」
モルテの負担にはなりたくなかったのに。
モルテはいつもそうだ。人知れず傷ついている。全て1人で抱え込み、他人を守るために尽力している。そんな彼を守りたい。心からそう思った。




