2-16 出撃
時刻は少し遡り、ナハトが未来を見ている最中。
マレクはどこか遠い目をしているナハトの顔を心配そうに見つめている。それに対してモルテは家から持ってきた本を読みながらゆったりとくつろいでいる。
「そんなに心配しなくても。俺達がどうしようと結果は変わらないんですから」
「モルテは心配しなさすぎだって!!」
マレクがそう叫んだ瞬間、ナハトの瞳が大きく揺れ動いた。
少し休んで落ち着いたナハトは未来視の結果を2人に伝える。
「駅にいるギーラが見えた。でもハイスも向かってるっぽい。急ごう」
ギーラは駅を経由して遠くへ移動するつもりなのだろう。
「その前に」
「何...ってうわ!!」
マレクは立ち上がろうとしていたナハトを押さえつける。
「ナハトすごく辛そうだよ。回復するから少し待って」
マレクの体格ではナハトを押さえつけるのは不可能だ。しかし、ナハトは抵抗できなかった。それほどまで弱っているということだ。
マレクは申し訳なさそうにしつつも強い意志でナハトをこのまま行かせまいとしている。しばしの静寂のうち観念したようにナハトが口を開いた。
「...そんな場合じゃないって言いたいとこだけど、実は立つのもやっとなんだよね。お願いしていい?」
「任せて!」
マレクはナハトの手を握り、怪我が治るよう必死に祈る。すると淡い光が放たれナハトへと収束していく。
「これが勇者の力かあ...なんかこう...あったかいね」
「そうなの?調子はどう?」
ナハトの傷が少しずつ癒えていく。驚き目を見開くナハト。軽く腕を回し自分の状態を確かめる。
「いい感じ。すごく安心するよ。ありがとうね」
(セイラちゃん...待ってて)
ナハトは眼帯をつけながら覚悟を決めていた。
「準備できたなら行きますよ」
モルテは本を閉じ立ち上がる。
「行こう!」
マレクの号令とともに3人は駆け出した。




