2-15 夕焼け
やはり痛めつけられた体で未来視を行うのは相当の負荷がかかるようだ。走馬灯のように過去の記憶が流れ込んでくる。
何をしても死ねない体、残酷なことばかり見せてくる未来視。
死なないからと捨て駒扱いし、都合のいい未来だけ教えてくるよう詰め寄る者たちばかり。もう疲れてしまった。
そんな時、彼女と出会った。まだ幼かった彼女はもう覚えてはいないだろうが。
ああ、眼帯を付けていなかったからかもしれない。だがそれが運命を変えることとなる。
「お兄ちゃんの目綺麗だね!!夕焼けみたい」 「私夕焼けが好きなんだ。だからお兄ちゃんの目も好き!!」
彼女は俺の目を見て「綺麗」と言った。
今までは「気味が悪い」だの「呪い」ばかり言われてきた。綺麗なんて生まれて初めて言われた。
それだけ。たったそれだけだ。それだけで俺は救われてしまった。
だが俺は彼女を救えなかった。彼女は俺のせいで悲惨な運命を辿ることになる。あの時未来視を使っていれば、救えたかもしれない。
一時は絶望し、全てを諦めていた。
だが今度は違う。絶対に救う。彼女が好きと言ってくれたこの目を使って。
不幸な未来じゃない。幸せな未来を掴むため。
「はあっ...はあっ...はっ...ゲホッ!!ゲホ!!」
激しくせき込む。過呼吸気味のナハトだったが、ゆっくりと呼吸を整え不敵に笑う。
「...見えたよ。セイラちゃん」




