2-6 腐れ縁
セイラは目をぱちぱちさせている。突然目の前に男が現れたのだから無理もない。
「え...だれ...?子供まで...?」
黒髪の男の傍らには子供が不安そうにこちらを見つめていた。男は子供を背中に庇いながら淡々と会話を続ける。
「俺はモルテ。こっちはマレクです。あなたは?」
黒髪の男――モルテとの会話で少し冷静になれたセイラは縋るように詰め寄る。
「私はセイラ。お願い!ナハトを助けて!!私を逃がすためにひどいケガを...」
「ナハト?なるほど...わかりました。案内をお願いできますか?」
「え?う...うん!!」
「え!?モルテ!?信じちゃっていいの?」
二人のやり取りを聞いていたマレクは混乱している。洞穴にいたところ戦闘の気配を感じたと思ったら人間の気配が接近し、様子を見に来たところだ。知り合ったばかりの相手の言うことを鵜呑みにするのは流石に迂闊すぎるとしか言えない。セイラもすぐ信じてもらえると思っていなかったのか困惑していた。
「ナハトが関わっているのなら問題ないです」
「知り合いなの?」
「まあ腐れ縁みたいなもんですね。行きましょうか」
(これを見越していたんですかね...あのバカは)
モルテはナハトと事前に連絡を取っていた。ナハトは雪山で不審な動きがあると事前にモルテへと伝えていた。その際「助けたい人がいる」と言っていた。勿論それだけではないが、ナハトの名前が出てきた時点で嘘はついていない。そう確信した。




