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2-4 痩せ我慢
「は――」
予想外の一言に言葉が出てこなくなるセイラ。みるみる顔が赤くなっていく。
「!ハイスの気配だ。俺が時間を稼いでくるからその間に逃げてくれる?」
セイラの心境を理解せぬままナハトは淡々と告げる。
「そんな!その怪我で置いて行けるわけ...」
「大丈夫。ここはカッコつけさせてよ」
にこりと微笑むナハト。セイラは気づいてしまった。彼がセイラに心配させまいと笑っていることに。その想いを無下にすることはできない。
「...分かった。どうか気を付けて!!」
自分がいても足手まといだ。今は逃げるしかないとセイラは駆け出す。それを一瞥したナハトは剣を支えに膝をつく。
「っは...ぁ...ぐ...」
(カッコ...つけすぎたかな...)
ナハトは必死に呼吸を整えながら気配のする方へ目をやる。
「息も絶え絶えじゃないか。今楽にしてやろう」
手に炎を纏いながらゆっくりと近づいてくるハイス。
「ちょっとは休ませてほしいな...」
ナハトは左目から滴る赤い液体を指で拭いながらハイスの前に立ちはだかった。




