2-3 一目惚れ
「逃がすか!!」
炎を圧縮した無数の熱線がナハト達に襲い掛かる。ナハトは俊敏な動きで攻撃を躱していく。しかしハイスも実力者だ。熱線を巧みに操りナハトを誘導し回避できない位置まで追い詰める。
「追いかけっこも終わりだ」
迫る熱線を前に思考するナハト。セイラを運びながらでは満足に動くことができない。回避は不可能だと即座に判断し、両手をセイラから放す。
「ぁっ!?」
当然重力に従い落ちていくセイラ。下が雪だとしても無事では済まないだろう。もう少しで地面に激突する。涙ぐむセイラの横を高速で通っていく銀色の何かが見えた。剣だ。剣はセイラの服に突き刺さり、直線状に生えていた木に刺さった。多少の衝撃はあったが地面に体を打ち付けるよりはマシだろう。木に縫い付けられ九死に一生を得たセイラはやっとのことで一息つくことができた。
「ごめんね服に刺しちゃって...加減したけど痛くなかった?」
ナハトが足を引きずりながら現れた。先程剣を投げたのは彼だったのだろう。彼の通る箇所に赤い液体がぽたり、ぽたりと滴っている。
「私は平気だけど...ナハトさんが...!!」
ナハトは体のあちこちを熱線で抉られていた。
「ナハトでいいよ。掠っただけだから平気」
剣を抜きセイラを木から降ろす。
「なんで?なんでここまでして私を助けてくれるの!?」
セイラは思わず叫んでしまう。自分は怪我をしてまで助けてもらうような人ではない。その上会ったばかりなのに。ナハトは潤んだ瞳でこちらを見つめるセイラを見つめ返す。軽薄そうな口調から一転、低めの声で返答する。
「...一目惚れしたから、って言ったら信じる?」




