2-2 乱入
思わず目を瞑っていたが、衝撃はやって来ない。不審に思ったセイラは何かが落ちる音と共に目を開く。
「大丈夫?セイラちゃん」
剣を持った男が手をセイラの前で振りながら顔を覗き込んでくる。
「え!?あ...」
慌てて距離を取る。足元をよく見ると両断された銃弾が落ちていた。この男が助けてくれたのだろうか。反射的に男の顔をじっと見つめる。彼は左目を眼帯で覆っていた。
「俺はナハト。敵じゃないよ。だから一旦落ち着いてくれないかな」
笑みを浮かべるナハト。ナハトのペースに乗せられたせいで遅れて気づく。
(あれ――)
(私、名乗ったっけ?)
初対面だったはずだ。彼はセイラの名前を知っていた。しかし考える余裕などない。
「なぜ邪魔をする」
ハイスは想定外のことが連続し苛立ちを隠しきれない様子だ。ナハトはその神経を逆撫でするように嘲笑う。
「女の子を酷い目に遭わせる悪い奴に教える義理ないかなあ」
「そうか、では死ね」
業を煮やしたハイスの行動は早かった。業火が2人に向って放たれる。先程は銃弾1つで事足りると思っていたが、今度は魔法を躊躇なく行使している。本気のようだ。
「熱っ」
ナハトの剣の一振りで炎が霧散していく。
「なに...!!」
ハイスの瞳が僅かに揺れる。炎は剣でどうにかできるものではない。ましてやハイスの強力な魔法だから尚更だ。これには流石のハイスも動揺しているようだ。ナハトはその隙を見逃さない。
「しっかり捕まっててね」
セイラを抱きかかえ高く跳躍し、山を降りていく。




