11/31
1-11 勇者
勇者。マレクがそんな英雄の力を持っている。脳が理解を拒むが嫌でも気づいてしまう。先程雪崩を止めた時。モルテの怪我を治した時。なぜ自分があのようなことを成しえたのか。
「僕が...?」
震える声で言葉を紡ぎ出すマレクを見て、いてもたってもいられず抱きしめるモルテ。
モルテのあたたかさが伝わってくる。彼の体は氷魔法を使うからか冷たい。しかしマレクには安心できる、そんな温もりを感じた。思わず堪えてきたものが溢れてしまう。
「モルテ...うぁあ...ああ...怖いよ...これからどうすれば...」
怖い。自分が別人のような感覚がある。この凄まじい力を宿してしまった重圧に耐えられない。怖い。
「マレクはマレクの生きたいように生きていいんです。その力に、使命に縛られる必要はないんです」
モルテはマレクが泣き止むまで抱きしめ続けた。




