1-10 神
こほん、とわざとらしい咳払いを皮切りに重い口を開くモルテ。
「マレクはこの世界とその種族についてどれくらいの認識でしたっけ?」
「え〜とラズルっていう神様がこの世界と僕達を作ったんだよね。でも突然魔族っていう化け物達が人々を襲い始めて...」
「...」
モルテは視線を少し落とす。魔族は見た目こそ人と変わらないものの凶暴で強く、人々にとって脅威であった。それらは魔物と呼ばれる化け物と共に人々の生活を脅かしている。
「それで神様が救世主である勇者様を遣わせて魔族と戦って...」
「そして?」
モルテは次を促す。早くその言葉を聞かせろと言わんばかりに。
「魔族を作った神、魔神と相討ちで...亡くなったって...」
「そうですね。ですが両者の力は失われていないんです」
「力?」
「ええ。神という"概念"は基本死にません。つまり魔神という役職は新たな者に引き継がれると言うことです」
神という存在は不変である。存在しなければ世界は成り立たない。しかし不死ではない。死ぬことはほぼないが殺そうと思えば理論上殺せる。それ故保険として代わりが存在する。
「そんな...じゃあまだ魔族の脅威は去ってないってこと?」
「ええ。しかしそれは勇者の力も同じことです。勇者の死後その力は残されています」
「...まさか」
息を呑む。
「マレク...あなたの体内にね」




