1-1 炎
思い出すのは苦い記憶。
辺り一面の赤。赤い飛沫。赤く染まった掌。
真っ赤に染まった大切な人。何をしてでも守りたかった人。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。あの日以来ずっと考えている。
後悔は一生分した。これからもし続けるだろう。だがこのままでは終わらせない。進み続けねばならない。
アイツのためにも。
轟音。雪山にも関わらず炎の柱が立ち昇る。
「起動を確認!退避だ」
山頂には数名の集団がいた。
「待っ...まだ私が...」
女性が慌てて声を上げる。顔の下部に火傷痕のある彼女はこの雪山を爆破した張本人である。術の維持のためこの場から動けない。
「お前は用済みだ。」
「そん、な――」
彼女を残して全員が足早にその場を去った。魔法で体を強化し滑るように山を下りて行く。
(止めないと...!!)
必死に止めようとするが魔力のコントロールは元より苦手の部類。焦りが影響し更に炎の勢いが強まる。
その衝撃で大量の雪が山頂から溢れてくる。
(私がこの場から動けないのを知っててわざと...?つまり最初から...?)
彼女は先程の集団に生かされている。逆らうことはできない。生きるために必死に働いてきた。それなのに。
「誰か、だれ...か...たすけて...!」
掠れた声は吹雪にかき消された。




