覚醒した従者!捕えよ!逃げる闇を!
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙な出来事が舞い込んでくるのだった。
イグニスは膝をつき、荒い息を吐きながら顔を上げた。その目に映るのは、黒いオーラをまとい、彼を睨みつけるオズワルドだった。
「ぐああああ……な……なんだ、このパワーは……?」
イグニスはよろめきながら立ち上がる。だが、その足元は覚束なく、心の中にはじわりと恐怖が広がっていた。
オズワルドは容赦なく距離を詰めると、黒いオーラをまとった蹴りを繰り出した。その一撃にイグニスは吹き飛ばされ、川原を転がる。
「ぐっ……お前は……なんなんだ……?」
イグニスが呻くように問いかける。
「それはこっちのセリフだろうが!」
オズワルドの声は怒りと決意に満ちていた。
イグニスは歯を食いしばり、残る力を振り絞る。
「こうなったら、この肉体の最強の魔法を使うしかない……フレイム・アローッ!!」
燃え上がる炎の矢がオズワルドに向かって放たれる。
「ぐっ!」
オズワルドは一瞬身を竦ませたが、その手を炎に向けた。炎の矢はオズワルドの手の中で輝きながら反転し、空高く弾き飛ばされる。
「もういいだろ?お前は拘束して近衛兵に突き出す。」
オズワルドは冷たく言い放ち、イグニスに近づく。
その時、今の爆音の影響か、近くで倒れていたグリンディアが微かに動き出した。
「う……う~ん……」
「グリンディア様!しっかりしてください!」
オズワルドは駆け寄り、彼女の肩を軽く揺らす。
一方、イグニスの表情は苦痛と焦燥に歪んでいた。心の中で別の声が囁く。
(くっそ……アイツまで起きてきたじゃないか……この状況……勝ち目はない。この身体は捨てて、より強力な肉体を探すしかない……!)
その瞬間、イグニスの体から黒い霧が吹き出した。それは意思を持つように動き、空中へ舞い上がる。イグニスの身体は糸が切れたように地面へ崩れ落ちた。
「な……なんだ、あれは……?」
オズワルドが唖然と呟く。
「くくく……今日のところは退散するが、次はそうはいかんぞ。」
黒い霧上の物体が低く不気味な声で嘲笑う。
だが、その時だった。
「逃さんぞ!!!!マジックハンド!!」
突然、鋭い声が響き渡る。
「グリンディア様!目覚めたんですね!」
オズワルドは驚きつつも喜びに満ちた声を上げる。目を覚ましたグリンディアが魔法の手を発動し、黒い霧を掴み取っていた。
「くっ……なんだこれは!?逃げられない!」
黒い霧が必死にもがく。
「ビッグファイヤーボールじゃ!!!!」
グリンディアは勢いよく叫び、捕らえた霧に向けて強烈な火球を放つ。それは直撃し、霧は断末魔の叫びを上げながら消滅した。
「ち……ちくしょーーー……ぐああああ……!」
闇は完全にその姿を消した。
場には静寂が戻り、オズワルドとグリンディアはその場に立ち尽くす。
「今の……奴、なんだったんじゃ?」
グリンディアが息を整えながら尋ねる。
「全く……わかりません。」
オズワルドは困惑の表情で答える。
「どうやら……今の奴にイグニスは身体を乗っ取られておったようじゃな。あの禍々しいオーラは完全に消えとる。」グリンディアはふとイグニスを見下ろしそう言った。
「身体を乗っ取られていた……?そんなことってあるんですか?」
「わからんが……そうとしか説明がつかん。」
グリンディアはイグニスに回復魔法をかけるが、イグニスは目を覚まさない。
「しかし……オズ、今の奴とどうやって戦ったんじゃ?相当強かったはずじゃが……?」
オズワルドは少し顔を赤らめ、「ええっと……自分でもよくわからないんですが、グリンディア様を守りたいって強く思ったら……なんだか力が湧いてきて……」といった。
「え……えっ?」
グリンディアはぽっと頬を染め、心の中で(ひょっとして……真実の愛の力……?)と思いながら輝く瞳でオズワルドを見つめる。
「オズ……守ってくれてありがとう。ワシ……ワシ、結構怖かった……」
涙を流しながら、グリンディアはオズワルドに飛びつくように抱きついた。
「グ、グリンディア様!?大丈夫ですか。」
「オズ……ギュッてして……」
「は……はい。」
オズワルドは照れながらも彼女をそっと抱きしめる。
(こんなグリンディア様…初めてだな…物凄く強いけど、やっぱり普通の女の子なんだ…)
その心には、彼女の意外な一面を知った驚きと愛おしさが溢れていた。
その時、倒れていたイグニスが低く呻く声が響いた。
「ううう…」
オズワルドとグリンディアはそちらに目を向け、事態の新たな展開を待つこととなった。
次回:イグニスの身体を支配していたものとは?




