眠れる魔法少女…従者の誓い!僕が彼女を守る!
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙で楽しい出来事が舞い込んでくるのだった。
イグニスはグリンディアをじっと見つめ、彼は楽しげに口角を上げた。
「確かに、まともに戦ったらお前には敵わないな。でもな、戦い方次第ではどうにでもなるもんだ」
その言葉にグリンディアは眉をひそめた。
(こいつ…何を考えておるんじゃ…?)
「こんな風にな!」
イグニスは唐突に叫ぶと、右手を掲げて炎の魔法を放つ。
炎の塊が勢いよくグリンディアへ向かっていく。しかし、グリンディアはその火球を軽々と手で弾き飛ばした。
「こんなもん、ワシには効かんと言っておるじゃろ!」
そう豪語した瞬間、イグニスの右手が閃き、小型のナイフがグリンディアの足元を掠めた。鋭い痛みが走り、グリンディアは咄嗟に膝をついた。
「へへへ。命中だ」と、イグニスは満足げに笑う。
「くっ…多少かすっただけじゃ…!ヒール!」
グリンディアは即座に回復魔法を発動させ、足の傷を癒やした。みるみるうちに傷は消え、元通りになる。
しかし、イグニスはさらに笑みを深める。
「多少かすっただけでいいんだよ♪」
「さては…毒か?それだってわしの強力な回復魔法ですぐに治せるぞ!」
「ところが毒でもないんだな♪」
「なんじゃと…?」グリンディアは目を細めて相手を睨みつけた。
その直後、彼女の視界がぼやけ、体に急激な眠気が襲いかかる。
「くっ…しまった…」
「そうさ、ナイフには睡眠薬を塗っておいたのさ♪こればっかりはお前でも防げまい」
グリンディアの身体がぐらりと崩れ、完全に眠りに落ちた。
「さ~終わった♪思ったより簡単だったなあ♪」
イグニスは魔法でグリンディアの身体を浮かび上がらせた。彼女をどこかへ連れ去ろうとした、その時だった。
「う…うっ…これは一体…?」オズワルドは目を覚ました。
彼はぼんやりとした視界の中で、魔法で浮かび上がるグリンディアを見つけた。
「グリンディア様…!」
状況を理解したオズワルドは、驚愕と焦燥の声を上げた。
「な…何をやってるんだ…!!?」
叫びながら身を起こすと、イグニスは振り返った。その顔は冷たい笑みを浮かべ、まるで悪戯を楽しむ子供のようだった。
「あちゃーーー。オマケの方が起きちゃったかあ…」
イグニスは愉快そうに肩を竦めたが、次の瞬間、その瞳が冷酷さを帯びる。
「でも、イグニスの記憶だとコイツは弱かった筈だから、速攻で片付けるか…」
「貴様…!」
オズワルドの怒りが爆発する。だが、そんな彼を嘲笑うようにイグニスは手を振り、グリンディアを地面に降ろした。
オズワルドは反射的に駆け出していた。鋭いスピードで男――イグニスに突進し、全力の体当たりを叩き込む。
「ぐっ…!」
イグニスは予想外の力に吹き飛ばされ、地面に転がる。
オズワルドはその隙を逃さずグリンディアの元に駆け寄った。
「グリンディア様!大丈夫ですか!」
倒れた彼女を抱き上げ、その顔を確認する。彼女がただ眠っているだけと気づき、オズワルドは安堵の息を漏らした。
「畜生…オマケの分際でふざけやがって…!」
再び立ち上がったイグニスが低く唸る。
オズワルドは怒りに震える声を上げる。
「何を考えているんだ!いい加減にしろ!」
「くくく…どうしてもお嬢ちゃんを連れていかないとならないんだよ。」
イグニスの不敵な笑みが返される。
「どうやら話しても無駄のようだな!」
オズワルドはすぐに氷魔法を生成し、握り込むと力一杯イグニスに投げつけた。
「これは…氷の魔法か?そんなもの炎で溶かしてやる!」
イグニスはファイヤーボールを放つが、投げられた氷の中身が炎を突き抜け、イグニスの顔面に命中する。
「ぐああああ!」
イグニスは叫び声を上げて倒れた。地面を転がった氷の中に入っていたものの正体は――石だった。
「くそっ…氷の中に石を入れやがっただと!?」
オズワルドは鋭く言い放つ。
「手段は選びませんからね!」
オズワルドはさらに氷の魔法を投げつけ、イグニスの足にぶつけた。
「ぐあああ…!くっそ…痛い…!この痛いという感覚にはどうにも慣れない!」
イグニスは叫び声を上げながら足を引きずる。
「イグニスさん!もう降参してください!」
オズワルドの言葉に、イグニスは一瞬ためらうような素振りを見せた。
「わかった…!すまない…降参だ…」
イグニスは両手を上げるが、突然再び炎の弾を繰り出した。
「なんてな!」
ファイヤーボールが直撃し、オズワルドは地面に倒れ込む。
「ふはは…全く手こずらせやがって…さて、お嬢ちゃんは貰っていくぞ。」
イグニスはその場を離れ眠っているグリンディアの方に向かっていった。
「ぐっ…!」
暗闇の中で、オズワルドの意識は徐々に薄れていった。
(僕は…グリンディア様を守れないのか…?僕はやっぱり最弱の魔法使い…)
けれども、彼の中に微かな光が生まれた。それは、心の奥深くに眠る誓いだった。
(でも誓ったんだ…僕はグリンディア様を守るって…僕は…僕は…)
次の瞬間、オズワルドの身体を黒いオーラが包み込んだ。
「僕は…グリンディア様の従者だああああ!」
叫び声と共に、更に強大な黒いオーラが彼の体を包み込む。
「な…なんだと…?」
イグニスは恐怖の表情を浮かべた。
「うおおおおお!」
オズワルドは立ち上がり、全力で拳を振りかざす。黒いオーラが渦巻くその一撃は、イグニスを宙に舞わせ、5メートル先の地面に叩きつけた。
「ぐああああ…!」
イグニスは呻き声を上げ、震える足で立ち上がる。
「ぐああああ…な、なんだこのパワーは…?これじゃまるで…」
恐怖に支配された声で呟きながら、ふらつく足取りで立ち上がるイグニス。
「僕はグリンディア様を守る!!」
オズワルドの声には、確固たる決意が込められていた。
次回:勝負の行方は…?そしてイグニスの正体とは…




