スクールカースト崩壊!?岩をも切り裂く魔法カッター!
柔らかな日差しが魔法学校の校庭を包み込んでいた。
広々とした校庭には、古代の魔法対黒石でできた巨大な石柱がいくつも立ち並んでいる。
今日は特別な日で、魔法実習の時間だ。生徒たちは期待と不安の入り混じった表情で集まっていた。
マシュ先生は、生徒たちの前に立ち、静かに授業を開始した。
「では今から魔法実習をおこないます。それぞれ柱の前に立ってください。」
生徒たちは、それぞれ指定された場所に向かい、約100メートルほど先にある石柱の前に立ち少し緊張した様子で、先生の指示に従っていた。
オズワルドは、隣に立つグリンディアに小声で尋ねられていた。
「オズーこれはどういう授業なの?」
オズワルドは説明を始めた。
「攻撃魔法をあそこにある柱に当てれば良いんです。もっとも、僕は一度だって当てたことはありませんが。」
グリンディアは不満そうに唇を尖らせ、
「簡単じゃん。要するに攻撃魔法であの柱をぶっ壊せば良いんでしょ?」
と、無邪気に答えた。
その言葉に、マシュ先生は一瞬で青ざめた表情を浮かべ、慌ててグリンディアに駆け寄った。
「グ…グリンディアさん…柱は壊すんじゃなくて魔法を当てるだけで良いのよ。」
声が震え、明らかに動揺していた。
「ふ~ん…こんな感じ?」
グリンディアは気にも留めず、人差し指を前に突き出した。
すると、その指先から鮮やかな光線が放たれ、まっすぐに石柱へと飛んでいった。
「ひええええええ!」
校庭中に驚きの声が響き渡り、クラスメイトたちは一斉にざわめき出した。
「なんだあれ…指からレーザーみたいなものが出てたぞ。」「あれはなんの魔法だ…?」
グリンディアは首をかしげながら石柱をじっと見つめた。
「ぬ?壊れんなあ。」
その言葉に、周囲の生徒たちは驚きの声を上げた。柱はまったく無傷だったのだ。
マシュ先生は冷や汗を浮かべながら、なんとか冷静さを保とうと努めた。
「ね…!あの柱は魔法に強い魔法対黒石からできてるので、さすがのアナタでも壊すことはできません。さあ、他の人に代わりましょう。」
だが、グリンディアは納得しなかった。
「ならば…!巨大ファイヤーボール!」
「きゃあああああ!!!」
校庭は再び騒然となり、生徒たちは慌てて石柱から距離を取った。
マシュ先生も恐る恐る後退した。
巨大な炎の球体が石柱に直撃したが、石柱は依然として無傷のままだった。
グリンディアは悔しそうに顔をしかめた。
「むーーーー!ワシの巨大ファイヤーボールが当たって壊れないなんて?あの柱、本当に堅い!」
マシュ先生は心臓の音が聞こえるほど緊張しながらも、なんとか声を絞り出した。
「グリンディアさん…!あなたの魔法が凄いのはよくわかったわ…しっかり命中したし、他の生徒に代わりましょう!」
オズワルドも慌てて助け船を出した。
「そ…そうですよ、グリンディア様!魔法はしっかり命中しましたよ…!」
しかし、グリンディアは納得がいかない様子で頬を膨らませた。
「でも…先生…ワシ…柱壊せなかった!」
その言葉には、本気で悔しがる様子が滲んでいた。
「壊さなくて良いの!」
マシュ先生は焦りながら叫んだが、グリンディアはもう次の行動を決めていた。
「こうなったら…神に抗う究極魔法、隕石落としをやるかー!!」
グリンディアは手を天高く掲げ、何かを念じ始めた。
「そんな聞くからに恐ろしい魔法はやめてーーーー!学校がなくなっちゃうわーーー!」
マシュ先生はほとんど泣き叫ぶような声で止めようとしたが、グリンディアは肩をすくめ、
「隕石落としはやっちゃ駄目か~。ならば…魔法はイマジネーションじゃ…」
とつぶやき、手のひらから鋭い円形のカッター状の魔法を生み出した。
「ひいいいいいいいい。グリンディアさん、物騒な魔法はしまって!」
マシュ先生の声もむなしく、グリンディアはそのまま魔法を発動させた。
「いっけーーー!魔法カッター!」
魔法カッターは空気を切り裂きながら柱に直撃し、瞬く間に柱は真っ二つに割れてしまった。
「やったー!先生、ぶっ壊してやったーよ!!」
グリンディアは満足げに叫んだ。
「ぎゃああああああ!あれ、高いんですよー!怒られるーーー!!」
マシュ先生は顔を覆ってその場に崩れ落ちた。
周囲のクラスメイトたちは、グリンディアの凄まじい魔力に言葉を失い、ただ立ち尽くすばかりだった。
――魔法実習授業が終わり、マシュ先生は校長室に向かい、動揺を隠せないまま報告を行った。
「ふーむ…まあ、グリンディアちゃんだから仕方ないわい…それにしても、噂以上に凄い子じゃのう…」
校長は感嘆の声を漏らすばかりだった。
心の中で思わずつぶやく。(ワシより強いんじゃないかのう…)
マシュ先生は心の中で叫んだ。
(あの子、怖ーーーい!)