魔女と従者。守る誓いと揺れる想いの甘い口づけ
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙で楽しい出来事が舞い込んでくるのだった。
子夜、部屋に差し込む月の光の中で、グリンディアはオズワルドに寄り添い、約束していたご褒美の話しを囁いた。
「ご褒美…のキスは…またホッペがいい? そ…それとも…」
視線を床に落とし、手元をモジモジさせながら、震える声で尋ねる。
オズワルドの心臓が跳ねた。
「そ、それは…きっと…」
答えようとするが、言葉がうまく出てこない。
グリンディアはさらに赤くなり、顔を背けながら呟いた。
「ワシと…キス…したい?」
その一言で、オズワルドの中で何かが爆発しそうになる。彼の目が泳ぎ、耳まで真っ赤に染まった。
「はい…したいです…。」
その言葉に、グリンディアは赤くなった顔のまま小さく頷く。互いに視線を交わさないまま、沈黙が部屋を包み込んだ。
しかし、オズワルドの頭の中では葛藤が渦巻いていた。
(本当にいいのだろうか…前に偶然口唇が触れあった時とは違う。今度はお互いの意思で…)
その時――。
トントントン。
廊下から足音が聞こえた。二人は驚いて、思わず毛布の中に隠れる。
「……父さんか。」
小声で呟くオズワルドの隣で、グリンディアは息を潜めていた。廊下の音がトイレで途切れ、再び寝室へ戻っていく気配を感じた後、ようやく毛布から顔を出した。
二人は改めてベッドに座り直すと、オズワルドが口を開いた。
「あ、あの…僕はグリンディア様を守るって誓っているのに、この前の魔法試合ではそれができていません。それなのにご褒美を貰うなんて…。」
彼の真剣な表情を見て、グリンディアは微笑む。
「ワシを守るって…そもそもワシより弱い癖に~。」
軽くからかうような言葉。しかしその裏には、彼への深い信頼が滲んでいた。
「たしかに弱いです。でも…グリンディア様の為に頑張りたいんです!」
彼の強い言葉に、グリンディアの胸は熱くなった。
(ワシより弱い癖に…でもでも…ワシを守ろうとするオズの一生懸命さが…たまらなく愛おしい…)
グリンディアはオズワルドをじっと見つめた後、ふと優しく微笑んだ。
「オズは…ずっとワシを守ってくれてるよ。初めて出会った時から♪」
オズワルドの顔がさらに赤くなる。
「あれは守ったうちに入りますかね…。でも、これからずっとあなたを守りますよ。」
「ずっと…?」
「はい、僕は…これからもずっと…」
その言葉を聞いた瞬間、グリンディアの胸が熱い気持ちでいっぱいになり、彼をぎゅっと抱きしめた。
そして、そっと優しく唇を重ねる。
――触れるだけのキスが、まるで時間を止めたかのように続いた。
唇が離れた後、グリンディアは顔を赤らめながら小さな声で呟いた。
「オ、オズ…。」
「グ、グリンディア様…。」
互いの名前を呼び合う二人の顔は、月明かりの中で真っ赤だった。そんな時、ドアの隙間から小さな声が聞こえた。
「わふ~!」
「きゃあ!」
「ケ、ケルベロス!」
ケルベロスはグリンディアに駆け寄り、甘えるようにじゃれついた。
「もう…ワシと一緒に寝たいのか。仕方ないのう♪」
グリンディアはケルベロスを抱き上げ、部屋を出て行こうとする。
オズワルドは慌てて声をかけた。
「あの…今のキスは、ご褒美…?」
グリンディアは振り返り、照れた笑顔を浮かべて答える。
「今のはご褒美じゃなくて…おやすみのキス♪」
そう言って、ケルベロスを抱きながら部屋を出ていく。
「おやすみ♪ オズ♪」
オズワルドはベッドに倒れ込むと、顔を両手で覆った。鼓動が早すぎて、もうどうしようもない。
「グリンディア様…。」
一方、自室に戻ったグリンディアはケルベロスを抱きながら嬉しそうに呟く。
「ケルベロス♪さっきね、ワシ…オズと…♪」
「わふ~。」
無邪気に尻尾を振るケルベロスを見て、グリンディアは幸せそうに笑った。
次回予告:魔法学園に恋の嵐!甘くてほろ苦い「スイートマギア」が訪れる!




