硬い!硬い!硬すぎる結界!エイリックの超結界絶対領域!
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙で楽しい出来事が舞い込んでくるのだった。
魔法学園ギョウダァとフーナバ学園の対抗試合当日、両校の代表選手たちが闘技場の中央で向き合っていた。闘技場を取り囲む観客席には、生徒や教師、関係者たちが詰めかけている。緊張感が場内を包む中、両チームはそれぞれの陣形を整えていた。
ギョウダァの選抜チームは士気が高い。
「油断するんじゃないわよ!こんなもの勝って当然だからね!」
リーダーのリシアが鋭い声で号令をかけると、チームメンバーが応じる。
「了解っす!」フレアが元気よく叫ぶ。
「はい!」エルフィールも力強く頷いた。
「エイリックって奴、俺がぶっ倒してやるぜ!」レオンは拳を握りしめ、気合十分。
「レオン、今日はやけに気合入ってるわね……」リシアが苦笑いを浮かべた。
一方、フーナバ学園の陣営では、1年生でありながら異例の実力を持つエイリックが、マイペースに指揮を取っていた。
「ええっと、僕は後ろで待機しますので、先輩方は前衛をお願いしますね~」
しかし、その言葉に先輩たちは困惑気味。
「おいおい、一応お前がリーダーなんだ。作戦はどうするんだ?」
そう尋ねると、エイリックはふと遠くを見るようにして呟いた。
「作戦ですか……うーん、美人お姉様も赤髪の美少女も清純派美少女も捨てがたい……誰とデートするか迷うところですよね」
「な、何言ってるんだコイツ……」
先輩たちは呆れるばかりだったが、話題が思わぬ方向へ展開する。
「そういえば、勝ったら彼女たちとデートできるって話、俺たちにも適用されるのか?」
「ええっと…どうなんでしょうね?活躍すればワンチャンあるかもですね」
と軽く答えるエイリックに、先輩たちは俄然やる気を見せる。
「よっしゃ!燃えてきた!」「女友達作るぞー!」
男子校生の彼等は女の子の友達が欲しかったのだ。
そんな中、試合開始を告げる声が場内に響き渡る。
「それでは魔法力勝負、開始です!」
マシュ先生の力強い声が闘技場に響くと同時に、観客席から大きな歓声が上がった。
開始の合図とともに、フーナバ学園の生徒たちが動き出す。中でも前衛に立った一人が勢いよく叫んだ。
「だあああ!先手必勝だ!ファイヤーボール!」
巨大な火球が勢いよくギョウダァ魔法学園のチームに向かって飛んでいく。観客席が一瞬静まり返ったその瞬間――。
「ふん…こんなもの…」
リシアが冷たい眼差しで火球を睨む。彼女は素早く片手を前に出し、小さな結界を作り出した。
バシュッ!
火球は結界に阻まれ、あっという間に弾かれる。
「でたーーー!姉ちゃんの手結界じゃ!」
観客席で観戦していたグリンディアは興奮して声を上げた。
だが、弾かれた火球の行方は思わぬ方向へ向かっていた。
「なに???」
フーナバ学園の左側にいた生徒に火球が直撃する。
「グフッ!」
その生徒は衝撃で尻もちをつく。
「姉さん流石っす!」
そう言ったのはフレアだ。彼はにやりと笑うと、氷の魔法で作った塊を作り出し、先ほど倒れた生徒に向けて豪快に投げつけた。
ゴンッ!
氷の塊が見事に顔に命中する。
「うわっ…」
倒れた生徒は完全にKOされてしまった。
唖然とするフーナバ学園チーム。
残された生徒たちはその光景に目を見開いて立ち尽くしていた。
「油断は禁物よ…」
リシアが鋭い声を響かせる。手元に魔力を集中させると、次の瞬間には魔法で作ったロープが現れ、フーナバ学園の生徒2人に巻きついた。
「な…なんだこれは…?」
「身動きがとれない…!」
「動きは封じさせてもらったわ!今よ、レオン!」
リシアが指示を飛ばすと、レオンが自信満々に前に出た。
「おお!ライトニング・スナイプ改!」
レオンが渾身の力で雷撃を放つと、ロープで動けない生徒たちに命中。
「ぐあああああ!」
「うわっ!」
雷撃の直撃を受けた2人は立ち上がることができず、そのまま試合から脱落する。
「へへへ!リシアとの修行の成果が早速出たぜ!」
レオンが笑顔で拳を突き上げる。
これでフーナバ学園のチームは早くも残り2人、エイリックを含む最後の砦となった。
「くっそーーーー!サンダーアロー!」
焦りを隠せないフーナバの生徒がやけくそ気味に叫びながらフレアとエルフィールに向かって雷矢を放った。
「へへへ…技を借りるぜ!リシア姉さん!」
フレアが余裕の笑みを浮かべながら片手を掲げると、彼女の技である手結界を模倣して魔法を弾き返した。
「なにいいい?」
敵は驚きの声を上げる。
「いくわよ…!フローズンアロー!」
エルフィールが隙を逃さず冷静に氷の矢を放つ。矢は敵に命中し、さらにもう一人の生徒がKOされる。
これでフーナバ学園はエイリックただ一人となった。
リシアが目を光らせる。
「ちょっと…なんでアナタがその技を使えるの??」
フレアが得意げに肩をすくめる。
「へへへ。リシア姉さんの技を真似して練習したんすよ」
「くっそーー!あっさり覚えるなんて腹立たしい…!」
リシアが悔しげに顔をしかめる中、闘技場の熱気はさらに高まっていった。
観戦しているフィギン校長とリュート校長の表情も対照的だった。
「なんということじゃ……」唖然とするリュート校長に対し、フィギン校長は余裕の笑みを浮かべる。
「フォフォフォ……流石リシアちゃんじゃ。勝利は目前じゃろ」
「ま…まだじゃ!」リュート校長は拳を固めて応じる。
「ワシの孫、エイリックがまだおる!あいつはとんでもなく強いんじゃ!」
魔法闘技場の中央。リシア率いるチームの猛攻を受け、フーナバ学園のチームはほぼ壊滅状態だった。
しかし、その中で一人、エイリックは悠然と立っていた。少し砕けた笑みを浮かべながら、肩をすくめる。
「あちゃ~~~。先輩たち、みんなやられちゃったじゃないですか。女性達にアピールするチャンスはなかったですね。」
リシアは鋭い目つきでエイリックを見据え、冷ややかに返す。
「随分と余裕そうね。でも、もう残るはあなただけよ。」
エイリックはふっと笑い、「そうですね。こりゃ大ピンチだ。」と、茶目っ気たっぷりに言ったかと思うと、真剣な目に変わる。
「でも、時間を稼げたんで、準備は整いましたよ。」
「準備?」リシアは警戒を強める。
エイリックは地面に両手を叩きつけ、呪文を唱えた。
「さあ、いきますよーーー!超結界絶対領域!」
その瞬間、彼の周囲に小さな結界が現れた。人一人がしゃがんで入れるほどの小さな空間。その中にエイリックはあぐらをかいて座り込む。
「これが僕の本気の結界です。誰も壊せませんよ?おじいちゃんにだって無理なんだから。」
リシアは眉をひそめながらも笑った。
「面白いじゃない。それなら…みんな!全力でやりなさい!」
彼女の指示に応じ、仲間たちが次々と魔法を放つ。
「おお!ライトニング・スナイプ改!」
レオンが雷の矢を放つ。
「ファイヤーボール!」
フレアが巨大な火球を投げつける。
「フローズンアロー!」
エルフィールの氷の矢が結界を直撃する。
「こ…氷全力投げ…!」
オズワルドが力いっぱい氷の塊を投げた。
しかし、それらの攻撃はすべて結界に跳ね返され結界には傷一つついていない。
「な…なんですって…?」
リシアは呆然とした表情で立ち尽くす。
エイリックは結界の中から肩をすくめて見せた。
「だから言ったじゃないですか。僕の結界は誰も壊せないって。」
リシアたちは口を開けたままその光景を見つめるしかなかった。
観覧席のフィギン校長ですら、その結界の強固さに目を見開いていた。




