小さな小箱と2人の想い。そしてオズワルドの決意。
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙で楽しい出来事が舞い込んでくるのだった。
オズワルドは深呼吸し、小さな箱を取り出した。緊張した様子がグリンディアにも伝わる。
「これは…エリオット様からいただいた小箱です。中には宝石がいくつか入っていて…」
オズワルドは視線を箱に落としながら、口調を慎重に選んで続けた。
「その中で、グリンディア様にぜひともお渡ししたいものがあるんです。」
グリンディアは彼の手元をじっと見つめた。
「それは…?」
オズワルドが取り出したのは、美しい銀細工の髪飾りだった。中央には小さなエメラルドが埋め込まれている。
「髪飾り?」
「はい。グリンディア様に似合うと思って選びました。」
一瞬の間を置いて、グリンディアが頬を赤らめながら言葉を発した。
「な…なんだー…ワシは、てっきり…」
「てっきり?」
オズワルドが首を傾げる。
「な、なんでもないっ!」
グリンディアは慌てて手を振ったが、少し残念そうな様子も見え隠れしていた。
「そ、そうだ。それ、オズがつけてくれる?」
グリンディアの言葉にオズワルドは一瞬驚いたが、すぐに微笑んだ。
「はい♪ わかりました。」
彼は慎重にグリンディアの髪に髪飾りを留めた。
「どうでしょうか…?」
「どう…?」
グリンディアが少し恥ずかしそうにオズワルドを見つめる。
「とっても似合ってます♪」
その言葉に、グリンディアはふわりと微笑みを浮かべた。
「嬉しい…♪オズありがとう♪ 大切にする♪」
「はい、気に入ってもらえたら僕も嬉しいです♪」
テーブルに穏やかな空気が流れ、しばらく二人とも無言で向き合っていた。しかし、グリンディアが不意に口を開いた。
「オズはワシのこと…好き?」
「もちろん、大好きですよ♪」
「ちがうの~!」
グリンディアが膨れたように言い返す。
「えっ…?」
「だから~…その…従者としてじゃなくて…だよ。」
彼女の視線がテーブルをさまよった。
「従者としてじゃなくて…?」
オズワルドは混乱していたが、彼女の真剣な表情に息を呑んだ。
「うん…」
「えっと…えっと…僕はその…」
オズワルドの声が震える。
「うん…」
グリンディアが優しく促す。
「グリンディア様と一緒にいると、とってもとっても楽しくて…」
「うん♪」
「グリンディア様をずっと守りたいって思ってて…」
「うん♪うん♪」
「だ…だから…」
オズワルドは深呼吸し、言葉を紡ごうとしたその瞬間――
「やあ、久しぶりだね。」
背後から優雅な声が聞こえた。
「きゃあ!」
グリンディアが驚いて振り返ると、そこにはエリオット王子が立っていた。
「今日こちらに来ていると聞いてね。挨拶に来たんだ。」
「え、エリオット様…?」
オズワルドがが慌てて立ち上がり、深々とお辞儀をする。
その後、三人は少し話をしてレストランを後にした。
帰りの馬車の中。グリンディアはしばらくして眠りについた。その寝顔を見つめながら、オズワルドは胸の中に渦巻く思いに浸る。
(グリンディア様は最強の魔法使いで、僕は最弱の魔法使い…。いつか僕なんかじゃ従者として足りなくなるかもしれない。)
(でも、僕はグリンディア様と一緒にいる時間が本当に好きだ。僕がグリンディア様にしてあげられることって何だろう?もし…ずっと一緒にいられるなら…僕はなんだってしてあげれる。)
オズワルドの心に決意が生まれたのだった。
翌日、魔法学園の校長室では、フィギン校長とシュー教頭が話をしていた。
「イグニス君が休学していると聞いたが、本当かね?」
「ええ、そのようですわ。」
フィギン校長は顎を撫でながら考え込む。
「ふむ…心配じゃな。今度連絡を入れてみよう。」
「それがよろしいかと存じます。」
シュー教頭が深々と頷いた。
校長は机に置かれた書類を見つめながら呟いた。
「ところで、学園対抗の魔法力勝負じゃが…イグニス君が出場出来ないなら誰に出てもらうかのう。」
「それなら、素晴らしいお二人がいらっしゃるじゃありませんか。」
「ほう?」
シュー教頭は微笑を浮かべて答えた。
「グリンディアさんと、リシアさんです。」
「フォフォフォ、彼女らは決まりじゃな。」
次なる舞台は、学園の誇りを賭けた魔法力勝負。
果たして、運命はどのように動くのだろうか――。




