出会いはシフォンケーキの香り!?オズワルドの新たな想い
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となりグリンディアはその後、オズワルドの家に居候することに。そんな二人の日常には、毎日のように少し奇妙で楽しい出来事が舞い込んでくるのだった。
ある日の午後、グリンディアはオズワルドに声をかけた。
「オズー♪ちょっとスカーレット姉ちゃんと話してくるね♪」
オズワルドはにっこりと頷き、「はい♪わかりました♪」と返事をする。
グリンディアは嬉しそうに手を振って、スカーレットの元へ向かった。
グリンディアがいない間、オズワルドはどう時間を過ごそうか考え込む。
(グリンディア様、なんだか本当に楽しそうだなあ♪さて、僕は空いた時間で何をしようかな……ん?なんだか甘い匂いがする…)
その甘い香りに誘われるようにオズワルドは調理室へと足を運んだ。そっと中を覗くと、一人の女生徒が真剣な表情で何かを作っている。
ふと、彼女もオズワルドの存在に気がついたようだ。
「……あっ!君はオズワルド君だよね♪」
「え?僕のことを知ってるんですか?」
オズワルドが驚いて聞き返すと、彼女はにこっと笑った。
「もちろんだよー!君、すごく有名だよ♪文化祭の時の魔法力勝負みたよ♪」
「そ、そういうことですか…お恥ずかしい限りです…」
「なんでー?頑張ってたじゃん♪」
「は、ははは……」
女生徒の明るさに少し照れつつも、オズワルドは返事をする。
「私は二年生のフローラ♪よろしくね♪」
「どうも…オズワルドです。そ、そういえば、甘い匂いがしましたけど、ここで何か作ってるんですか?」
「それね♪スイーツ部の活動でシフォンケーキを焼いてたんだよ♪」
「スイーツ部!そんな素晴らしい部活があるんですか?」
「ふふ、私一人でやってるから、ちょっと変な部活かもだけどね!」
彼女は照れ笑いを浮かべながら言ったが、その楽しげな表情が印象的だった。
「へえー!実は僕もお菓子作りが好きで、家でよくクッキーとか作るんです♪」
「本当!?どんなお菓子を作るの?」
「クッキーが多いですね。簡単でみんなも喜んでくれるから♪」
こうしてオズワルドは、初めて会ったばかりのフローラと和やかに会話を楽しんだ。
次の日の放課後もまた、グリンディアはスカーレットのもとへ向かうことにした。
「オズ!今日も姉ちゃんと話してくるね♪」
「はい♪わかりました♪」
グリンディアが楽しげに去っていく後ろ姿を見送り、オズワルドはまた調理室に足を向けた。そこには昨日と同じく、フローラが一人でお菓子作りに励んでいた。
それ以来、オズワルドはグリンディアがスカーレットと会っている時間に、たびたび調理室へ足を運び、フローラとおしゃべりをするようになっていった。
「私もさ、あんまり魔力値が高くないんだよね。だからこの学校にいると、ちょっと居心地悪くてさ」
フローラは少し肩をすくめながら、明るく笑うように言った。
「その気持ち、僕もすごくわかります!この学校の生徒って、どうしてこんなに魔力値にこだわるんでしょうね?」
「本当だよねー。いやになっちゃう(笑)」
同じ思いを抱えていることを知り、オズワルドは心が軽くなったような気がした。
「……実はね、私はここじゃなくて、本当は行きたい学校があったんだよ。パティシエの学校」
「パティシエ?お菓子作りの学校なんですか?」
「そう!だけど遠いところにあるし、親からの許可が出なかったの。だから、仕方なくここに通ってる感じ」
フローラの表情にはほんの少しの寂しさが浮かんでいたが、オズワルドはそれでも彼女の夢を応援したいと思った。
「でも、ご両親が心配する気持ちも、理解できますよ」
「そうだよね……でも、いつかちゃんと勉強して、ケーキ屋さんを開きたいな」
フローラは夢を語るその瞳を輝かせた。オズワルドも思わず微笑んで応援の言葉を贈る。
「素敵です♪フローラさんなら、きっと素敵なケーキ屋さんになれますよ。フローラさんの作るシフォンケーキ、本当に美味しいですから!」
「うふふ♪ありがとう♪オズワルド君の焼いたクッキーもすごく美味しいよ♪」
「ははは♪ありがとうございます♪」
二人は笑い合いながら、学校生活の中で少しずつ心を通わせていった。
オズワルドは、フローラと過ごす時間を重ねるたびに感じていた。
(この魔法学園で、初めて同じ気持ちで話せる友人ができた…)
それは彼にとって、魔法学園において今までまったく感じた事がなかった感情であった。




