愛と友情と自由と豪華フルコース
あらすじ:学校で「最弱魔法使い」と呼ばれるオズワルドは、ひょんなことから最強の魔法少女・グリンディアの従者となり、グリンディアはオズワルドの家に居候することになった。
そんな二人は、ある出来事をきっかけに、エリオット王子を助けることに。その結果、王子は愛するサマンサと結ばれることができた。
オズワルドの家の前には、エリオット王子を中心に、王家の一行とオズワルドたちが集まり、厳かな空気が漂っていた。感謝の儀が始まる直前で、彼らの表情にはそれぞれの思いがにじんでいる。
エリオット王子がゆっくりと前に進み、深々と頭を下げて言った。
「ではこれより、感謝の儀を執り行わせていただく。」
すると、フレアが手を振って制止した。
「ちょっと待った!俺はダチを助けただけだ!礼なんかいらねえぜ!」
エルフィールが不思議そうに眉をひそめる。
「友達を助けた…?どういうことなの?」
エリオット王子は少し微笑みながら、フレアに向き直った。
「フレア、それでも君には渡したいものがある。衛兵たち、あれを持ってきてくれたまえ。」
衛兵が敬礼し、片膝をついて王子の言葉に応じる。
「ハッ!」
王子が差し出したのは一振りの立派な剣だった。フレアは思わず息を飲み、その剣を見つめた。
「これは…!」
「私が父上から譲り受けた大切な剣の一振りだ」と王子が説明する。
「この剣なら、君が冒険者としての道を進むにしても、あるいはサイラースの元に行くにしても、大いに役立つはずだ。」
フレアは困ったように笑いながら、頭を掻いた。
「お…俺は、ダチを助けただけだし…お礼なんて貰うつもりはなかったんだ…」
グリンディアがニヤリと微笑んで茶化す。
「折角なんじゃから、素直に貰っておけ♪ 本当は欲しいんじゃろ?」
フレアは一瞬、驚いたようにグリンディアを見つめ、そしてうつむいた。
「くそっ、本当は凄く欲しいよ!」
エリオット王子は小さく笑い、剣をフレアの手に託した。
「それなら、受け取ってくれ。」
フレアは剣を両手で大事そうに抱え、感動した表情で王子に頭を下げた。
「これが今日から俺の剣…ありがとう、大切にするぜ!」
次に、王子はグリンディアに向き直り、尋ねた。
「グリンディアさん。あなたにも何か差し上げたいが、本当に二人を豪華フルコースにご招待するだけで良いのかい?」
グリンディアは満面の笑みを浮かべてうなずいた。
「もちろんじゃ!最高に美味しいご飯を頼むぞ!」
王子は笑いながら答えた。
「では、君たちの都合の良い日に迎えの使いを出すとしよう。」
グリンディアは手を叩いて喜んだ。
「やったー!ワクワクするのう♪」
そして、王子はオズワルドにも向き直り、小さな美しい小箱を手渡した。
「オズワルド君、君にはこれを差し上げたい。」
オズワルドは驚きながら受け取る。
「こ…これは…?」
「後で開けてみてくれたまえ。私からのささやかな贈り物だ。」
オズワルドは目を輝かせ、丁寧にお辞儀をした。
「ありがとうございます!」
エリオット王子はふと、改めて全員を見渡し、深く感謝の言葉を述べた。
「本当に君たちには世話になった。ありがとう。」
フレアは照れたように笑って肩をすくめた。
「へへ、気にすんなよ!」
グリンディアも笑顔で冗談を言った。
「豪華フルコースをご馳走になるしな♪」
フレアは真剣な顔で王子に言った。
「もしもまた困ったことがあったら、いつでも俺たちを呼んでくれ。力になるぜ。」
エリオット王子も温かい笑顔で応えた。
「ありがとう、フレア。君たちの友情は、千の騎士に勝るものだ。」
エルフィールはその光景を心温まる気持ちで見守っていた。こうして感謝の儀は無事に終わり、王家の一行は王都へと帰っていった。
儀が終わった後、エルフィールは腕を組み、フレアにじっと視線を向けた。
「さてと…」
フレアが振り向く。
「ん?」
エルフィールがにこやかに笑いながらも冷ややかな口調で言った。
「どういうことか、ちゃんと説明してもらうからね!」
その後のやり取りで、エルフィールは彼らが王都でエリオット王子と知り合い、彼を助けた経緯をようやく理解した。
「はあ?王都に行ったらエリオット王子とたまたま知り合って、そこから王子に力を貸したですって?」
オズワルドが少し照れくさそうに答えた。
「大体そんな感じかな。」
エルフィールは呆れたようにため息をつく。
「どうしてそんな展開になるのよ?そもそも、何しに王都に行ったの?」
オズワルドは小声で答えた。
「エルフィールが元気なさそうだったから、心配になって…それで王都に調べにいったんだ。」
エルフィールは呆れたようにため息をついたが、少し目を潤ませてつぶやいた。
「なんで…そんなことまで…」
グリンディアがあっけらかんと笑いながら肩をすくめる。
「そりゃあ…心配にもなるじゃろうが。」
エルフィールは微笑みを浮かべて、少しからかうように言った。
「あ〜あ…もしかして王族になれたかもしれないのになー」
その言葉にオズワルドは驚いて焦った表情を見せた。
「えっ…えっ…ごめん、迷惑だった?」
エルフィールはやさしく首を振り、
「ううん、いいのよ。エリオット王子には心に決めた人がいた訳だし、どのみち上手くいくわけなかったわ」
と、苦笑交じりに言葉を続ける。
「それに…あなたたちは私を心配してくれたんでしょ?ありがとう。」
するとフレアが、得意げに胸を張り、
「俺も頑張ったし、今度デートしてくれよ!」と冗談半分に言った。
エルフィールはあきれたように笑い、
「まったく…しまらないわね!」と笑顔で返す。
「ふふ、でも…考えてみようかしら♪」
フレアが歓声をあげる。
「マジか!やったーーー!!」
エルフィールは心の中で、さまざまな思いが交錯するのを感じていた。
何が正しいか今はわからない。けれど、たった一つだけ確信していることがあった。
「これで私は、誰を好きになるのも自由なんだ」




